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「ホエホエ、それはきっと超洗剤のせいダスな〜」


「「超洗剤?」」




溶けた絵の具で足跡を残しながら某研究所へ。
博士に事情を説明したところ、イヤミに貸していた“超洗剤”という洗剤を誤って飲んでしまったのだろうと言われた。




「それって戻せんの?」


「戻すための薬は超洗剤と一緒に開発済みダス。でもストックがないダス」


「完成に3時間かかるヨ〜ン」


「3時間待てば戻れるってこと?そのくらい余裕で待つよ!」


「良かったぁ〜!ありがとう留衣!」


『良かったね。…いつまで泣いてるの一松?』


「撫でられてると勝手に出てくる……」




どうやら完成に3時間かかる薬さえできれば戻れるらしい。さすがデカパン!
急いで作ってくれるというので、その間俺たちはここで待機。ほんとに一松はいつまで泣いてんだ。今頃留衣の力でガラスハートのヒビを修復してるんだと思うけど。


なにはともあれ、ようやくこれで一件落着。めでたしめでたし。

とはならないのが俺たちである。




『ところで気になってたんだけど、絵の具で体を描いてるってことは服は着てないんだよね?』


「「……あ」」


『ぼかしモザイク入ってるからそうだろうとは思ってたんだけど。じゃあわたし服取って来るから』


「「…ハイ、お願いします」」




今の今まで全裸で好きな子の前にいたことに気付いた俺たちは、もう遅すぎるがそっと両手で前を隠した。




――




「まだ?まだダメなの?」


「ダメだよ一松兄さん。まだ手の血管が見えてる」




外にも出れずやることもなく3時間を主に寝て過ごし、一旦夕飯の支度をしに帰った留衣が改めてこちらに向かっているという連絡を受けてようやく重い体を起こす。

薬を飲んでも一瞬で元に戻るわけではなく、徐々に戻っていくらしい。
風呂を借りて絵の具を落とし、内蔵スケスケ状態になってからだんだん元に戻っていく自分の体を眺めていた。




「こんなの見たらショッキングでしょ。グロいよ。我慢して」


「早く留衣に触りたい……」


「それはみんな一緒だから」




留衣が持ってきてくれた服に着替えてただひたすら戻るのを待つ。
俺たちはこの数時間で見慣れたが、普通の人から見たらただグロいだけの動く人体模型。服を着たとはいえ、完全に元に戻るまで留衣に会うわけにはいかなかった。




「いちまちゅはほんとに留衣大好きだねー?」


「……好きだけど?」


「あら意外。アッサリしてる」


「今それどころじゃない。…俺が留衣好きなのなんて今更でしょ」




体育座りでイライラしている一松は、早く留衣に触りたくて我慢ならない様子。…と言うと変な誤解を生みそうだが、とにかく留衣に触りたそうだった。
さっきのがよほどショックだったのだろう。でなければこいつがこんなに簡単に「好き」なんて言葉を吐くはずがない。




「…真面目な話、そろそろいいんじゃない?」


「確かに。じゃあカウントダウンでもする?」


「カウントダウン!!10からね!!」


「はい、10〜」




ほぼほぼ元に戻ったところでチョロ松がカウントダウンを仕掛ける。十四松がそれに乗っかり、自然と兄弟で声を揃えてカウントダウン開始。

ちらりと一松を見るともうイライラしている様子はなく、代わりに嬉しそうにうずうず。ほんとに留衣大好きだよなあ。




「9、8!」




一松だけじゃないか。
トド松も、一松にああ言いつつ自分もそわそわしてたし。




「7、6…」




十四松はよくわかんないけど、留衣に触るの我慢してたようには見えたな。十四松のくせに。




「5、4」




チョロ松は留衣に気付いてもらえたときに心底安心してたし。




「3、2!!」




カラ松は顔面にサングラスしか描かれてないくせに、ずっと留衣のこと見てたのバレバレだから。




「1」




かくいう俺も、早く留衣に抱きつきたいんだけどさ。




「「0!!」」




――バァン!!
留衣の待ってる部屋へとつながるドアを、勢いよく押し開けた。




「「留衣〜!!」」


『あ、戻ったの?…って、えっ、なに?なに?』




出てきたと思ったらもみくちゃにされ、わけがわからないといった感じの留衣。
構わず俺たちは留衣に抱きついたり、擦り寄ったり。
留衣は相も変わらずそんな淡々とした物言いだけどさ。


口先だけじゃなくて、俺たちのことちゃんと見てるってこと。
それが証明されたのがどんなに嬉しかったか。

「戻ったんだ、良かったね」程度で終わらせようとしてる留衣に、そうはさせまいとその小さな体に全力でこの気持ちをぶつけた。






超洗剤 




END.


 



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