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旦那と別れて、電車に乗るべく駅の階段を上る。
隣のグリーンはむすーっとした顔で。
「乃亜の旦那さんって、女の子だったんだな…」
『いやいや、友達だから』
「…え、そうなのか」
『ちょっと、変な勘違いしないでよ?
男嫌いは本当だけど、そっちの趣味もないから』
「あ、そうなのか……。
…ごめんな、じゃあ嫌だったよな」
『何が?』
「オレ、男だし…」
電車の空いた席に二人で座る。
隣に座ったグリーンが、少し私と距離を置きだした。
そういえば男嫌いなのは言ってなかった。
確かに、少し前にいろいろあってから私は男の人が苦手になっていた。
まともな恋愛なんてここ数年間ずっとしてないし、する気もなかった。
でも別に、そういう訳ではなくて。
『平気だから、』
「無理すんなよ?ほんとに」
『ほんとに、平気だから』
嫌いなのは確かだけど、
私の男嫌いはちょっと特殊で、
グリーンは、別だから。
『お願い…』
距離、置かないで。
せっかくここまで仲良くなれたのに。
周りの目が気になったけど、
腕を引っ張って、こっちに引き寄せた。
「…!」
少し驚いた顔をした後で、くすりとグリーンが笑った。
「乃亜が平気ならいいんだけど…。
…乃亜ってさ、なんでそんなにかわいいわけ」
『…はあ!?』
「今は電車内だから何もできないけどさ。
昼間とかもすげー友達から可愛がられてたじゃん」
『それは……よくわかんないけど、いつものことだから…』
「ちっちゃいからかな、なんか守りたくなるっていうか」
『……や、やめてよ…』
よしよし、と頭を撫でられる。
電車内だから、といった割にはこれも結構恥ずかしい。
確かにやけに最近周りから可愛がられてるけど。
アナウンスの声の後に発車音がして、電車が動き出す。
グリーンの手から逃れるように、時間があるから寝ようと壁に寄りかかった。
もともと酔いやすいから、電車ではいつも寝てるし。
「…なんでそっちに寄りかかるわけ」
『え?』
「どうせならこっち寄りかかれよー」
ぶすっとしているグリーン。
今日はやけにつっかかってくるというか、なんというか。
旦那と会ってから更に酷くなっている。
彼氏設定なのはいいけど、学校以外でその設定を貫く事もないだろうに。
私は嬉しい、けど、
本気になるのが、怖い。
『……失礼します』
「んー」
ぽす、とグリーンの方に頭と体重を預けた。
隣で満足げなグリーン、もう完全に彼氏と彼女みたいじゃないか。
少なくとも目の前に座っている人とかにはそう見られてると思う。
顔を隠すにも手段がなく、俯いた状態で目を閉じる。
最寄り駅まで30分。
ずっとこのままの状態かと思うと気が気でない。
早く意識を手放そうと、必死に眠ろうとしている自分がいた。
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