2








旦那と別れて、電車に乗るべく駅の階段を上る。
隣のグリーンはむすーっとした顔で。




「乃亜の旦那さんって、女の子だったんだな…」


『いやいや、友達だから』


「…え、そうなのか」


『ちょっと、変な勘違いしないでよ?
男嫌いは本当だけど、そっちの趣味もないから』


「あ、そうなのか……。
…ごめんな、じゃあ嫌だったよな」


『何が?』


「オレ、男だし…」




電車の空いた席に二人で座る。
隣に座ったグリーンが、少し私と距離を置きだした。

そういえば男嫌いなのは言ってなかった。
確かに、少し前にいろいろあってから私は男の人が苦手になっていた。
まともな恋愛なんてここ数年間ずっとしてないし、する気もなかった。

でも別に、そういう訳ではなくて。




『平気だから、』


「無理すんなよ?ほんとに」


『ほんとに、平気だから』




嫌いなのは確かだけど、
私の男嫌いはちょっと特殊で、

グリーンは、別だから。




『お願い…』




距離、置かないで。
せっかくここまで仲良くなれたのに。


周りの目が気になったけど、
腕を引っ張って、こっちに引き寄せた。




「…!」




少し驚いた顔をした後で、くすりとグリーンが笑った。




「乃亜が平気ならいいんだけど…。
…乃亜ってさ、なんでそんなにかわいいわけ」


『…はあ!?』


「今は電車内だから何もできないけどさ。
昼間とかもすげー友達から可愛がられてたじゃん」


『それは……よくわかんないけど、いつものことだから…』


「ちっちゃいからかな、なんか守りたくなるっていうか」


『……や、やめてよ…』




よしよし、と頭を撫でられる。
電車内だから、といった割にはこれも結構恥ずかしい。
確かにやけに最近周りから可愛がられてるけど。


アナウンスの声の後に発車音がして、電車が動き出す。
グリーンの手から逃れるように、時間があるから寝ようと壁に寄りかかった。
もともと酔いやすいから、電車ではいつも寝てるし。




「…なんでそっちに寄りかかるわけ」


『え?』


「どうせならこっち寄りかかれよー」




ぶすっとしているグリーン。
今日はやけにつっかかってくるというか、なんというか。
旦那と会ってから更に酷くなっている。

彼氏設定なのはいいけど、学校以外でその設定を貫く事もないだろうに。
私は嬉しい、けど、



本気になるのが、怖い。




『……失礼します』


「んー」




ぽす、とグリーンの方に頭と体重を預けた。
隣で満足げなグリーン、もう完全に彼氏と彼女みたいじゃないか。
少なくとも目の前に座っている人とかにはそう見られてると思う。

顔を隠すにも手段がなく、俯いた状態で目を閉じる。



最寄り駅まで30分。
ずっとこのままの状態かと思うと気が気でない。

早く意識を手放そうと、必死に眠ろうとしている自分がいた。







<<prev  next>>
back