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――




『ふー』




帰宅。
結局駅から家までも手を繋がれて歩いた。
なんとなくスキンシップが多い気がするけど、割と初回からなのでグリーンなりのじゃれか何かだと私の中で処理した。
じゃないとやってられない。

上着を脱いでソファーに座る。
だいぶここが定位置になってきた。




『暇だったでしょ、学校』


「まあ……授業に関しては否定はできないけど、家にいるよりいい気がする」


『そう?あれで?』


「うん、家で一人でいるの、なんか嫌で……。
できれば一緒にいたい…」


『…寂しがりよねー』


「う、うるせえっ」




かああっと顔を赤くする。
否定しないあたり、自覚はあるのだろう。
私より見た目は背も高いし大人だけど、実際の年齢は3つも下だし、やっぱりかわいい。




『そんな毎日来れるほどお金がないんだけど…。
どうする、これからも着いてくる?』


「行く!」


『そ…。
グリーンがあんなのでいいなら』




本当は毎日連れて行きたいくらいだけど。
一緒にいたいのは、…私も、だし。

あんなに暇なのに着いてきたいなんてグリーンも変わっていると思う。
家にいても暇だけど、家にいるならその分寝坊できるし、外出の準備はないし。




「いいの、あれで!
旦那さんには負けられねえし」


『旦那ねえ……』




意気込むグリーンに苦笑いする。
会ってからなぜか二人が張り合っているのだが、私にはよく分からない。
仲が悪くならなければいいけど。




「…そうだ乃亜、ハグしようぜ」


『……は?』


「いいから!」




バッと手を広げるグリーン。思わず抜けた声が出てしまった。
前振りもなしに突然どうしたというのだ。


ハグ………そういえば一番最初一緒に寝たきりな気がする。
あの日以降、距離をつめて仰向けで並んで寝るようになったから。




『わ、私から行くの?』


「ああ、もう今更だろ?」




ニッと笑うグリーン。今更といえば今更だけど。
いつも受身で抱き締められる側なので、自分から行くのには慣れてない。

状況がよく分からないが、言っても無駄そうなので座っているグリーンに遠慮がちに抱きつく。
電車内でできないって、これのことか。確かにこれは公共の場所だとちょっと。


年齢と身長が反比例している私達。
体の小さい私はグリーンの腕の中に綺麗に収まる。

顔赤い、絶対。
グリーンの胸に顔を埋めた。




「へへ、これでとりあえずお相子だよな」


『相子?』


「乃亜、旦那さんとハグしてただろ。
彼氏のオレとハグしないとかおかしいだろ」


『だからそれは設定上…』


「……そういえば乃亜、男嫌いなんだっけ」


『そうだけど…』


「オレは大丈夫なんだよな?」


『…うん』


「なんでだ?」




抱き締められつつ聞かれる。
私的に一番突っ込まれたくなかった場所だ。




「彼氏作ってないんだよな、乃亜って」


『…まあ、』


「乃亜モテるだろ?かわいいし」


『そんなことないよ…?』


「そんなことある。
…で、なんでオレだと大丈夫なんだ?
それとさ、オレのことさ……」


『…!』


「そ、そんなに好きなのか……?」




やっぱりきた。
さっきのと並行して一番突っ込まれたくない場所。
少しだけグリーンの腕の力が強まった気がする。


今日の旦那の台詞からだろう。
“それとも乃亜がグリーン好きすぎて召喚しちゃったとか?”
どうやらこの人は聞き逃してはくれなかったようだ。

……余計な事を。




『……好き。
分かってない、グリーンは。私のこと』


「え…?」


『私が彼氏作らないの、男の人が嫌いってのはもちろんあるけど。
もう一個理由があって』


「理由?」




そこまで言いかけて口を閉じる。
…言えない、本人の前じゃ。
だってグリーンにとっては、きっとばかげてると思う。


私が周りの誰かを好きになれないのは、
もとから男の人が苦手なのも加えて、



グリーンが、好きだったから。


手の届かない、存在しないって分かってるグリーンのこと、好きだったから。




「乃亜…?」


『…いい、知らなくて』


「怒ってるのか…?」


『怒ってない。自分に呆れてるだけ』


「そうか…?
乃亜、オレもさ、乃亜のこと、好きだから…」


『……ありがと』




でもそれはきっと、

私の気持ちとは、違うと思う。



だから、これ以上、本気にさせないで。
本気になっちゃいけないって、分かってるから。

いないって分かってたから、こんなにも本気で好きだったのに。




『…そろそろ、宿題やらなくちゃ』


「お、おう…。ごめん、なんか急に…」


『ううん、
…グリーン、』


「ん?」


『好きだよ』


「……!」




笑いながら。
冗談みたいに、さらっと。


これでいい。本気に思われない程度で。
日常の会話程度で。




『じゃ、宿題片付ける』


「おう、がんばれ!」




離れて教科書を取り出す。本当は離れたくなかったけど、これ以上はだめな気がして。

ノートを開いて、大した量ではない宿題に取り掛かった。














好きだよ。



(この気持ちは封印しなきゃいけないから)




END.





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(´`)

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→おまけにしては長い文章









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