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『おはよー』
「おはよ乃亜!今日も翠くんいるんだ」
「おう、いるぜ!」
こっちに来てから一週間とちょっと。もうすぐ二週間経つ。
お金の問題もあって話し合った結果、オレは乃亜と平日の2日間だけ一緒に学校に行けるようになった。
トータルすれば一週間のうち4日間、一日中一緒にいれることになる。
「ねえ、結局のところ二人はどういう関係なの?」
『え?んー…』
「秘密だよなー、乃亜」
「えー、秘密なの?」
『…ま、そういうことにしといて』
乃亜の友達が話しかけてくる。オレの事を覚えてくれた人もちらほら現れてきた。
乃亜とは恋人設定という事になっているけど、自分から言いふらすような事はしないように決めていた。
どうしようもないときの言い訳という事にしていたから。
言葉に詰まっている乃亜をカバーするように言葉をつむぐ。
意味深過ぎてばれているような気がするけど、なんとなくオレはそれでいいと思った。
「乃亜、今日の授業は?」
『えーと…。
一時間目生物、二時間目数学、三・四時間目体育、五・六時間目現代文』
「お、体育あるのか」
『………うん…』
はあ、と憂鬱そうな乃亜。
「あれ、乃亜って体育苦手なのか?」
『…一番嫌い』
「あ、そうなのか……」
知らなかった、運動苦手なのか。
わざわざ話題に出すんではなかった。
悪いことした。
ぽんぽん、と乃亜の頭を撫でる。
「ま、二時間ならすぐ終わるだろ!
今何やってるんだ?」
『バスケ』
「バスケかー」
バスケなら知ってる。やったことはあんまりないけど。
こっちに来てから思うけど、ポケモンの事以外ならほとんどオレのとこと変わらない。
乃亜に聞いたら、「ポケモンの世界のものはこっちがモデルになってるの多いから」らしい。
『とりあえず生物と数学受けなきゃ、行こう翠』
「おう!」
パタパタとかける乃亜についていく。
授業でオレは何もすることないけど、乃亜といれるならいいと思ってる自分がいた。
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