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『ただいまー』




午後六時。
乃亜が帰宅した。

ここのところずっとだけど、オレが学校に行けない日には帰宅した乃亜に抱きつきに行く。
やっぱり一人だとどうしてもナーバスになって、乃亜の姿を見ると安心する。


元の世界に帰れるんだと仮定すれば、それは確実に迫っているわけで。
それがいつなのかは知らないけど、例えば1分後だとしたら。
1秒も無駄にしたくなくて、1秒でも一緒にいたくて。




「乃亜、おかえり…」


『グリーン?』




甘えてばっかりなのはいけないと思うけど、乃亜相手だとどうもだめだ。
全部知られてるからもう恥ずかしい気持ちはないし、全部受け止めてくれるって思ってるから、つい甘えてしまう。

定位置のソファーに移動した後もべったべたにくっつく。
今日はいつもより甘えたな気がする。
そんなオレの気分を察したのか、黙って頭を撫でてくれた。




『なんかどんどん甘えん坊になってる気がするんだけど…』


「んー…」


『ゲームだともっと生意気で強気なのにね』


「……だめか?」


『だめじゃないよー?』




ハグにもだいぶ慣れたようで、乃亜に前みたいな戸惑いはない。
それはそれで少し寂しいけど。




「なあ乃亜、オレ、いつ帰れると思う?」


『いつ?んー………何か正直、気配がないよね…』


「だろ…。
帰れないのは困るんだけどさ、乃亜と別れるのもやだし、どうすればいいんだろ」


『私の事なんか考えてる場合じゃないでしょ、いつかは帰らなきゃ』




ぽんぽん、と頭を撫でられる。
さらっと言ってみたが、オレの言葉に深い意味があるのは多分乃亜には分からないだろう。




「乃亜ー…」


『なあに、ほんとにどうしたの』


「オレにも分かんない…」


『なにそれ』




擦り寄れば、乃亜が軽く笑う。
が、なんとなくオレの様子を見て分かったのか、抱き締める強さが強くなった。

乃亜を困らせるだけなのは分かってるけど。
言いようのない感情に押しつぶされそうで、乃亜に甘えてないと、自分が壊れそうな気がした。




『明日は学校行く日ね』


「ああ、」


『…一緒に居よう、グリーン。
いつかグリーンが帰るその日までさ、できるだけ』


「……うん」




そう言ってる乃亜の声が、震えてるような気がして、

力いっぱい、抱き締め返した。










帰りたくて帰りたくない




(どうすればいいのかなんて、誰も教えてはくれないんだ)




END.






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次回、最終章。

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