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「………」
周りを見ながら、乃亜と並んで歩く。
予想はしてたけど、建物とか道にいる人とか、見た目はあんまりオレのとこと変わらない気がする。
違うのは、やけに乗り物が走ってることくらいか。
当たり前のようにポケモンなんていなかった。
似たようなのは見かけるけど、乃亜がいうにはあれは「イヌ」とか「ネコ」らしい。
紐で繋がれてるのを疑問に思ってたら、「逃げないように」とのこと。
「じゃああの何もしてないネコは?」と聞いたら、「野生の」と答えられた。
野生とかあるんだな、と呟くが傍から見たら明らかに変な人だろう。
かわいいなー、なんて思いながら通り過ぎる。
服装も派手な人はいなさそうで、乃亜が言ってた「チャラい」がなんとなく分かった。
オレみたいに髪の色が明るい人はそうそう見かけない。
オレのせいで乃亜が変な思いしたら嫌だったから上着のフードを被ってみようとしたけど、「別にそれくらいなら平気」と言われた。
気を遣わせてるみたいでさらに申し訳なくなる。
『ここ、スーパー。
最低限のものだけ買って帰ろ、服とかはあった方がいいでしょ』
「ああ………その、乃亜…お金、」
『ここではお金は働かないともらえないの。
ポケモンやってるとすごい楽に貯まるけどね』
「……ごめん…」
『私だってそこまで働いてるわけじゃないよ、何日に一回数時間のバイトくらい。
お母さんのとこで一緒に働かせてもらってる。
気にしないで、どうせ大したもの買えないから…こっちこそごめん』
「乃亜が謝る事なんて何もねえって」
オレが勝手に邪魔してんのに。
ぽんぽん、と自分より背の低い乃亜の頭を撫でる。
今度はあからさまに顔赤くして、そっぽを向いた。
耳まで赤いから隠しきれてないけど。
『と、とりあえず……服、適当に選んで。
下着は最低限あった方がいいと思う、あとは家でも外でも着れるようなラフなやつ…。
家に女しかいないから男物がなくて』
「おう、」
『じゃ、私ここで待ってるから』
「え」
『……え?』
入り口付近でピタッと止まった乃亜に合わせてオレも止まる。
ここはオレのとこでいうデパートと同じだと思うのだが、人がなかなか多い。
広さも結構ありそうだ。
初めて来たとこで、しかもオレにとっての異世界で一人で歩くのは……正直怖い。
くい、と乃亜の上着を引っ張る。
「………あの、着いてきてくれませんか」
『へ?』
「……その、一人はその………心細いというか…」
『い、いいけど……』
「嫌なら一人で頑張る…けど」
『や、やなわけじゃなくて』
「…?」
『だってその、……下着とか買うんじゃ…』
かあ、と顔を赤くする。
なんだ、そんなこと気にしてたのかと納得した。
別にオレは女じゃないし、完全に気にしないというわけじゃないけど、一人になるよりは着いてきて欲しい。
見た感じ、乃亜はここに何度か来たことあるみたいだし。
迷子になったら、それこそオレはどうすれば。
「オレは気にしねえけど……乃亜が気になるんなら…。
その時だけ目逸らしといてくれれば助かる」
『…わ、わかった』
乃亜が歩き出す。
オレもそれに合わせて歩き出した。
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