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「………」


『………』




ソファーにリンクを座らせる。
その目の前に立っていた私と彼の間には、ぱちりと目が合った途端になんとも言えない空気が漂った。


本来有り得ないはずの人物がいきなり登場して「信じてくれ」で信じれるはずがない。
だからといって確かめるにしても、一体何で確かめればいいのか。
そう考えていれば過ったのはさっき彼が言っていた言葉。

“俺が持ってて、ここにあるはずのない何か”

ではまずこれだろうかと、リンクの所持していた剣と盾を調べ始める。
こんなもの少なくともこの周辺にはないはず。




『(重さもあるし、刃も本物みたい…。
盾も模様が同じ……でも、最悪作ろうと思えば)
……リンク、この剣と盾の名前は?』


「マスターソードとハイリアの盾。
君も知ってるだろ?」




当然のように返ってきた名称は私の中に思い浮かんでいたのと一致して。
しかしこのくらいならゲームさえやってればわかるかと考えれば決定打にはならない。

他に彼が所持しているものといえばその腰に着けているポーチくらいか。
貸してほしいと頼めば快く貸してくれるものだから、彼は私を警戒していないのだろうか。
そんなことを考えながら中身を取り出して並べていく。




『(パチンコに疾風のブーメラン、ビンにはチュチュゼリーらしき物体…ゲームまんまじゃない)』




出てきたものはすべて見覚えのあるもの。デザインもそのまま。
ビンを傾ければ中の赤いゼリーが重力でどろっと移動した。

そして極めつけは、




『(妖精…!?)』




もうひとつのビンの中の、ピンク色で羽がついた光る球体。
ふわふわ飛んでいるそれは普通に考えれば作れるようなものではない。
糸も何もついてないようだが仕掛けがない確証はない。
出して調べたいところだが、ゲームの設定では瓶から出すとライフを回復した後に消えてしまうことになっている。
重要な手掛かりである限り今ここで消えてもらっては困る。ふたは開けずに、そっと床に置いた。




『……、ちょっといい?』


「え、…わ!?」




妖精の存在で半ば諦めかけていた私は、リンクにずいっとせめ寄った。


これ以上調べる物はない。ならば本人を調べるしかもう今の私には残っていなかった。

覗きこんだ綺麗な青い瞳も、指を通した柔らかい髪もどうやら本物らしい。
ここまでなら外人であればいそうだが、問題は耳。

リンクの耳は歴代共通で長くとがっている。
トワイライトプリンセスでもその設定は存在している。
そして今目の前にいる彼もそれと同じ。

耳が長くとがっているなんて、空想上の人物にはよくあるが実在人物としては聞いたことがない。
軽く引っ張ったりもしたがつけたものでもなさそうだった。体温も感じる。


ぺたぺたと顔や腕を触りつつ、自分の中で結論が出た。




『……諦める。
妖精まで出されちゃ私には否定できない…』


「ほ、ほんとか!?
諦めるってのがなんか微妙だけど…」




素直に喜べない様子の彼だったが、それでも嬉しそうに笑った。
対して私はまだ険しい表情。

漫画でも小説でもないのに、何をどうして前触れもなくこんなことになったのか。
他の国の実在の人物ならまだしも異次元の人物なんて。






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