4






『とりあえず詳しく事情を話してもらえる?』


「ああ」




――リンクが言うには、こうだ。


自分は世界を闇から救うべく旅をしていた。
もともとは平和な村に暮らしていたが、ある日近くの森に異変が起きた。
そしてそれをきっかけに“トワイライト”と呼ばれる世界に迷い込む。
その後姫であるゼルダからハイラルの国がザントという人物に降伏した事実を知り、そこから長い旅が始まった。
狼になったり、マスターソードを手に入れたり、空の上に行ったり。

基本的に各地を走り回っているので外で寝ることも多いらしい彼。
ある日いつも通り眠って、気付いたらあの部屋にいて。どうしようかと周りを見渡して見つけたのが私。
眠っていたので起きるのを待っていたと。




「一緒にいたミドナはなぜかここにはいなかったんだ…。
ここに来た時、最初はハイラルのどこかの家の中かと思ったんだ。
寝てる間に誰かに運ばれたのかなって。ほら、俺ってその辺で寝てるからさ…。

で、君を見つけたけど寝てたから起きるまで待ってようと思って。
外も明るくなってたし…少し待てば起きるかなって。
その間に近くにあるもの見てたらさ」




――ふと手にとったのは、自分の絵が描かれた薄い箱みたいなもの。




「なんで俺が、と思って開けて中を見たらさ。
説明書…っていうの見つけたんだ。箱と説明書には「ゼルダの伝説トワイライトプリンセス」って書いてあった。
それ読んでるうちにさ……俺ハイラルじゃないどころか、とんでもないとこにいるんだなって」




苦笑いで話す彼は最早呆然を通り越したようで。

驚くだろう。
自分や見知った人が説明書に載っていて、しかもそれに「操作方法」という彼にとっては理解しがたい文章が載っているのだから。

操作方法にはコントローラーの絵も載っていたはず。
そしてそれは探すまでもないくらいすぐ近くに置いてあった。




「…君もだろうけど、俺にも訳わかんないんだ。
なんでこんなことになったのか…どうしてここなのか…なんで近くにいたはずのミドナはいないのか、」




ぎゅっと手を握りしめた彼はやけに小さく見えて。
世界を救うはずの勇者は、泣きそうなくらい声を震わしていた。




『……だいたい分かった。
私も協力するから…そんな顔しないで』




ぽんと肩に手を置けば、軽く笑った彼から「ありがとう」と返ってきた。








(突然訪れたその日)






END.











<<prev  next>>
back