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「俺のこの気持ちも、手がかりになるのかな」
あれからなんだかんだで3日が経った。
学校の間はリンクを一人残し、それ以外は一緒に暮らすという生活が始まった。
普通ならば知らない人間を留守番させたりしないのだろうが、彼を外に連れ出すのは難しい。
それに私にとっては彼なら他の人間よりかはいくらか安心感がある。
あの一件と生活費担当が私というどうしようもない事実とでリンクとは若干ギクシャクしている。
もちろん理由はそれだけではない、私がリンクを一方的に知っているというだけで私たちはそもそも赤の他人。
性別が一緒ならもう少し何か違ったと思うのだけども、知り合いですらない別世界に住んでいる男女が突然同居生活なんてどう考えても無理がある。
「あ、おかえり乃亜」
『ただいま』
午後6時。
学校とバイトに行っている間にリンクが夕飯を作ってくれていたので、リビングに入るとふわりといい香りが広がった。
本来立場が逆な気もするが気にしない。
私よりよっぽど気まずいだろうに、彼は笑顔で出迎えてくれた。
『支度ありがとう、助かる』
「いや…俺のせいで材料2倍使っちゃってるし、迷惑かけてるし……これくらいはしないと」
台所で手際よく皿に料理を盛り付けるリンクは、多分私よりも上手いと思う。
ここ3日間ずっとリンクは謙虚だけど、立場が逆ならきっと私もこんなものだろう。
しかしリンクが常識人で本当に助かった。
下手に他の人が来て暴れでもしたら大変なことになっていた。
『…で、結局今日も特になし?』
「……残念ながら」
夕飯を食べながら話すリンクのテンションはやや低め。
彼には日中ゲームの立ち上げを試みてもらったりしてるが、今のところ何も進んでいないようで。
本人にも変化がないところを見ると今日もまた収穫はゼロの様子。
リクエストしたあのスープを飲みながら解決策を考えるがすぐに思いつくはずもない。
やはり時間が解決してくれるのだろうかと、投げやりではあるがそう思うほかにないような気もしてきた。
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