五日目-4
「…で、煉獄さんはいつ明華さんに言うんですか?俺達あと二日しかここにいませんよ?」
「い、言う前提なのか……」
「だって煉獄さん、絶対明華さんのこと好きですよね?明華さんと話してるときだけ匂い変わりますし!」
「心臓の音もすごいもんなぁ。あーあ、認めたくなかったなぁ……」
「告白って何を告白するんだ?言いづれーなら俺が明華に言ってやろうか?」
「お前は黙ってろ!そして明華お姉さんを呼び捨てにするな!!」
純粋な眼で尋ねられて返答に困る。俺を問い詰めたり急かしたりする気は全くないのだろうが、悪意がなさすぎるので逆に困った。
俺が明華を好きであることが前提に話が進んでしまった。俺は未だに置いてけぼりなのだが。
そもそもここに来たのもつい先日で、彼女とは出会ったばかりで。ようやく打ち解け始めたくらいの関係なのだから、それは些か話が飛躍し過ぎなのではないだろうか。ひとまずそう答えて話をかわそうとしたが、「一目惚れってことはないんですか?」と追撃を受ける。竈門少年、意外に手強い。
確かに最初、明華と目が合ったときから少し意識していたかもしれないが……なんて、少年らの言うことを肯定しそうな自分がいることに気付いてはっとする。でも人を仲間や友達として以上に見たことがないから、この気持ちがそうだとは断定できない。炎柱としていつ死んでもおかしくない人生の中で、誰かに恋慕の情を抱くなど考えたことがなかった。
もしそうだったとして、伝えたとして。明華はどう答えるだろう。せっかくここまで仲良くなれたのに、関係が壊れることにならないだろうか。できるならまたいつかここに泊まって話をしたい。そう考えたら今の関係を続けた方が良い気がする。
一人で悶々としている俺に痺れを切らしたのか、我妻少年が勢いよく立ち上がった。
「煉獄さんが告白しないなら、俺がしますけどォ!?」
「…!?」
「明華お姉さんは多分俺のことそういう風に見てないし?可能性は低いと思うけど?ゼロってわけじゃないしいつかはそう見てくれるかもしれないし!!
本当は譲りたくないけど、俺は明華お姉さんのために譲ってんだからね!!活かしてくんないなら俺が明華お姉さん貰うから!!!」
ぎゃあぎゃあ騒ぎ始めた少年を竈門少年が抑える。彼は竈門妹のことが好きなのだと思っていたが、明華のことも好きだったのか。女性にはだいたい似たような態度を取っているからどこまで本気なのか分からないけども。
竈門妹は今のところ彼を特別慕っているようには見えない。対して、明華は彼に甘い。可能性は低いと言っているが有り得ないこともない気がした。――明華が、彼と。
それを明確に「嫌」だと感じたのが、俺の答えだと思った。
『皆様、食べ終わってたらお皿片付けますね!』
「…ッ!? 明華!?」
『? はい、…あ、もしかして大事なお話し中でしたか?すみません』
後ろから声がして思いっきり驚いてしまった。しかも話題の中心人物。
よもや人の気配に気が付かないとは。感情に名はついたが、また別の問題が発生しそうだな、これは。
事情を知らない明華だけが、首を傾げていつものようににこにこしていた。
五日目
(さて、どうするべきか?)
END.
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