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「かっぷめん、美味かった!」


『お客様にお出しするものではないけど……』


「しかし未来でないと食べられないものだ!感動した!」


『大袈裟だな…』




昼食後、無邪気に喜ぶ杏寿郎に苦笑する。
確かにすごい技術だと思うけど、とても客人に出すようなものではない。というか家族であっても出しにくい。自分で食べる分には美味しいしむしろ好きだけど。

杏寿郎にはあの小さなカップ麺ひとつじゃ足りないと思って、私と杏寿郎で3つの即席麺を開封した。春雨と焼きそばとスープパスタ。
シェアしながら食べて、杏寿郎はどれも美味しそうに食べていた。口に合ったようで良かった。


午後はリクエスト通り、買い出しには行かずに家で二人でのんびり過ごす。
あれから数時間経過したが今のところ異変はない。帰るときはどんな感じなんだろう。
異世界に飛んだ瞬間は気を失っていてそもそも覚えていないみたいなので、どういう風に戻るのかは分からない。瞬間移動みたいにパッと消えるのか、ブラックホールみたいなのに飲み込まれるのか。
飲み込まれる系だったら私も気を付けてないと引きずり込まれそうだなあ。




「意外とまだ時間が掛かるのかもしれないな」


『まあ…実際いつになるかは分かんないよね』


「もし奴の消滅と共に戻るのなら、少なくとも夜まではこのままかもな」




鬼は昼間は隠れて出てこないから、狩られるとしたら日の沈んだ時間。
その仮説が正しければ暗くなるまでは間違いなく彼はここにいるだろう。そして今夜狩られなければ明日の日中もここにいることが確定する。この先、それを繰り返すのかもしれない。

でも、所詮は仮説。5分後、10分後、どうなっているかは分からない。




「ん……」




ソファに座った杏寿郎がキスを仕掛けてくる。


彼は私に「着いて来てほしい」と言った。それを私が断った。
彼が望むのなら着いて行ってあげたかった。私も断りたくて断ったわけじゃない。何なら、彼が望まなくても着いて行きたいくらいだった。
それでもだめだ。着いて行った後に何が起こるか、私には想像がついている。きっと耐えられない。

唇を重ねながら、どうにか泣かないようにその感触に集中した。
あと少ししか一緒にいられないなら今は泣いている場合じゃない。そんなのは後でいくらでも出来る。
着いて行けないのなら、せめてここにいる間だけでも。杏寿郎に好きだって気持ちをぶつけて、あわよくば、元の生活に戻ってもずっと彼の記憶に残り続けたい。







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