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『(分かってはいたものの…)』




気まずい。鏡の中のスッピンになった自分の顔と向き合いながら考える。
お風呂から上がったんだから当然なんだけども、部屋に好きな人がいると分かってて出てくの辛いな。洗面所で一人もやもやする。

いやでも、どうしようもないよね。スッピンなんか家にいたらそのうち見られるんだし。
そんなに劇的ビフォーアフターな化粧をしてたわけじゃないし、きっとそこまで驚かれないはず。…はず。




『お先失礼しました〜…』


「ああ!…ん、どうした?」


『化粧落としたからちょっと気まずくて……』




バスタオルを頭に被りながら恐る恐るリビングに向かったら、案の定煉獄さんに突っ込まれた。うん、見るからに不審だよね。申し訳ない。
理由を話したら煉獄さんは「ああ」と納得したような声を出して、その後勢いよく私の腕を引っ張った。




『っ!?』


「化粧を落としても君は可愛らしい!!何も気にする必要はない!!」




転ぶかと思うくらいの勢いでびっくりしたけど、どうにかこけずに飛び込んだのは彼の胸の中。
バスタオル越しにぽんぽんと軽く頭を叩かれて顔が熱を帯びる。なんて満点な回答を寄越すんだこの人は。あんまりそっちの方面には長けていないと思ってたのに。

まだ私の髪が濡れたままであることに気付いたらしい彼は、続けて「風邪を引かないようにな」と微笑みながら言った。




「では俺も風呂を借りる!服はこのまま置いておけばいいだろうか?」


『うん、洗濯機の蓋閉めておいたからその上に置いといて。着替えもそこに置いといたから。体はさっき買ってきたバスタオルで拭いてね』


「分かった!」




では!と元気良く歩いて行ったのを手を振って見送った。……ああ、心臓止まるかと思った。命がいくつあっても足りない。
瞬時に笑顔を取り繕った自分を自分で褒める。よくやった。

さて、ご飯の支度するか。いろいろ考えたけど簡単かつ味付けがシンプル、あんまり外さなそうという理由でオムライスを作ることにした。
卵が上手くできるかが問題だけど。できなかったら謝ろう。

具材を切り分けてフライパンで炒めていく。炊けたご飯を必要なだけ取り分けて加えて、次はケチャップを…というところで遠くから「ちょっと来てもらえないか」と声が聞こえたので手を止めた。よく通る声だな。
火を止めてから声のした方向へ歩いていく。







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