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『(本物のしのぶさんだ……!!)』


「こんにちは、明華さん。調子はいかがですか?」


『あ、はい!ちょっとだるいくらいで、時間が経てば大丈夫だと思います。お手数お掛けしました…!』


「いえいえ。私の方こそ、原因が特定できなくて……。お元気そうで安心しました。
煉獄さんも夕方までには戻ってくると思うので、もう少しここで休んでいてください」




「困ったことがあれば言ってくださいね」と天使のように微笑むしのぶさん。漫画で見るよりもさらに美人だ。
その可憐さに、つい体調不良さえも忘れそうになる。まあ戦うとめちゃくちゃ強いんだろうけど。

手当てに食事までいただいちゃってすみません、この服も貸してくださったんですよね。ありがとうございます。
お礼を言いながらその場でぺこぺこして、ふとしのぶさんの言葉に違和感を覚えて聞き返す。




『えーっと……。炎柱、わたしのこと何か言ってました…?』


「まだ詳しくは話してくれないんですが、お嫁さんだと聞きましたよ。皆にもそう言ってました」


『よッ……。…、そうですか……』


「ふふ、煉獄さんの浮ついた話は初めて聞いたので新鮮でした」


『変な言い方をしないよう、よく言い聞かせておきます……』


「あらあら」




くすくすと上品に笑うしのぶさん。
意味深に杏寿郎の名前が出たので、何となく不思議に思ったら。すでに言いふらしていたか。
別に悪いことではないんだけど、まだ結婚はしてないし普通に恥ずかしいし、声が大きいから不必要な人にまで伝わってるのが容易に想像できる。
ただえさえ瑠火さんの跡を継ぐってだけで物凄いプレッシャーなのに。この辺の共感を杏寿郎に求めるのはきっと無理なんだろうなあ。


短い溜息を吐いたけど、脳裏には彼の笑顔が思い浮かぶ。…早く会いたいな。
怒るのもそうだけど、まずはお礼と謝罪から。ここまで連れてきてくれたのはきっと彼だろうから。
いろいろと話したいことを考えながら、見慣れない世界の景色をぐるりと見渡した。




――




「明華!!」




バン!と大きな音とともに部屋の扉が勢いよく開く。
それがあまりにも突然で、しかも足音が全くしなかったのでとにかくびっくりした。心臓止まるかと思った。
しかしそこに立っていたのは見慣れた人で、それを見てすぐに安堵する。

炎柱・煉獄杏寿郎。
隊服見たの、なんだか久しぶりだな。この姿が私は一番見慣れてるはずなんだけど。




 



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