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なんだかんだ、もう丸三日経ってしまった。




「ん……」




隙間から漏れた光を感じて目を開ける。
真っ先に視界に入ったのは、すぐ横で寝ていた中藤の後ろ姿。

今日もまた駄目だった。ここ数日目覚める度にそう思う。
意識のない間に此処に来ていたから、戻るときも同じようなものなんじゃないかと。彼女からもそう言われていたからそれを期待して眠るのだが、今日もまた駄目だった。

しかしこの“異世界”では有難いことに衣食住が確保されているので、生活の心配をする必要はない。




「(感謝している……中藤)」




まだ意識のない彼女を後ろから抱き直す。今抱き締めてやっても感謝は伝わらないと思うが。
起きたらまた改めて伝えるとしよう。

壁に掛けてあった時計を見る。時刻は午前10時の少し手前。とっくに日は昇っていて外は明るい。完全に目が覚めてしまったので体を起こす。

仕事で朝早くから出掛けていると思ってたが、休みの日はお寝坊さんなんだな。
まだ寝息を立てている彼女の小さな頭を撫でた。




『ん…』




まずい、起こしたか。慌てて手を引っ込める。が、寝返りしただけで起きる様子はなかった。
…本当に警戒していないんだな。まだ会って三日の男だぞ。一方的に知っているとはいえ。
俺に入れ込んでいるようだが、君が思ってたのと違う男だったらどうするんだ。心で思うが声には出さない。

こちらを向いた彼女の頭をもう一度撫でる。なんとなく、昔千寿郎と一緒に寝ていた頃を思い出して懐かしい気持ちになった。
年上と言っていたがあまりそうは見えない、姉というよりかは妹のようだ…などと考えては失礼だろうか。…千寿郎にはもう、俺が行方不明だと知らせが伝わっているだろうか。




『ん……んん?』


「あ…すまない、起こしたか」




頭を撫でたまま思考に耽っていたら今度こそ起こしてしまったらしく、中藤がゆっくりと目を開けた。
睡眠を妨害してしまった、申し訳ない。しかし中藤は嫌そうな顔はせず、それよりも俺に撫でられていることが気になったらしい。




『え…と?なに……?』


「いや、特に意味はないんだが……君が愛らしかったので」


『えー……あー…?…うん?』


「ふふ、おはよう」




混乱しつつも俺の言葉を理解したらしい彼女は顔を赤くしてこちらを見上げる。それがまた可愛くてつい笑ってしまった。
小柄で目が大きいせいもあるだろうが、愛らしい人だ。微笑んで挨拶したら返事の代わりに布団に頭ごと潜られた。照れたのか。




『朝からわたしの推しが世界一かわいい……』


「おし?」


『好きで応援してる人のこと』


「ふむ…なるほど。それはありがたいが、可愛いというのは疑問だな」




それを言うならどう考えても君の方が可愛いだろうに。そのあたりの中藤の感覚は謎だ。


「もう起きるか?」と聞いたら布団の中から「うん」と聞こえたので、昨日の朝中藤がやっていたのを真似して窓に掛かっていた日除けを開ける。日が差し込んで、部屋が一気に明るくなった。

何故か未だに顔まで隠している布団を剥ぎながら、彼女の顔を覗き込む。




「さあ中藤、良い天気だ!今日は何をしようか?」







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