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今日で一週間。


今度こそ何かあるんじゃないかと、お互いに期待したであろう今朝の目覚め。
特になんてことはなく、つい起きてからしばらく無言で煉獄さんと見つめ合ってしまった。

一週間ってキリがいいし、“期限”かなと思ったんだけど。ちょっと考え方が安直だっただろうか。
起きたら変わらずそこに存在していた彼の姿に一瞬だけ安堵してしまって、いやいや違うだろうと自分を律して。

もしかしたら仕事に行ってる間に飛ばされるのかもと思いながら一日過ごしたけど、結局彼は私が帰宅してからも普通に家にいた。




「すまないなあ、疲れてるのに飯を用意してもらって」




先に席に着いた煉獄さんがそんなことを言う。


もしかしてただ待ってるだけじゃダメなのかな。何かやらないと向こうには帰れないのかな。
そろそろ何も予兆がないと不安になってくる。煉獄さんは私以上に不安だろう。でも何をすればいいのか分からない。

せめてここに居座ることに罪悪感を持たせないようにしないと。
少し元気がなさそうに見える彼に、「わたしは煉獄さんにご飯作れるの嬉しいから」と笑って見せた。




「…なあ、君は俺のどこが好きなんだ?」


『え?』


「君は本当に俺が好きなようだから」




皿を並べて向かいに座ったところでそう言われ、どきりと胸が鳴る。


どういう意図の質問だろう。純粋な疑問だろうか?
あまり余計なことは言わないようにと決めたけど、向こうから聞いてきたんだから答えても大丈夫…だろうか。

しかしなんて言ったらいいだろう。いざ言葉にしようと思うと迷う。たくさんあるし。
本編の話は避けた方がいいと思うから、あそこの場面が〜みたいなことは言わないようにしないと。




『えーっと……まず優しいところでしょ?知らない人でも困ってたら助けてくれるし、体張って守ってくれるし。
いつも明るくてニコニコしてるとこも好きだし…芯が通ってて、真っ直ぐでぶれないところも好きかな。
あとは使う技が炎でかっこいいのと、見た目だったら髪の毛とか目の色とかがかわいくて好きで、そもそも顔立ちが整ってて美人だから………ん?』




好きなところがありすぎて、とりあえず思いついた順に羅列していたら目の前にいた彼が片手で顔を覆った。
表情は見えないけど耳が赤い。…なるほど。




『照れるなら聞かなきゃいいのに…』


「いや、そんなに褒めちぎられるとは思っていなかった…」


『これくらい想像つくでしょ?…そういう素直なとこもかわいくて好きだよ』


「かわいくはない……」




尚も顔を隠している彼を眺めながら苦笑する。…あーあ、“余計なこと”だいたい全部言っちゃった。お荷物にならないといいけど。

「どうして聞こうと思ったの?」と尋ねると、ようやく手を退けた彼から「何か気にしているようだったから」と返ってきた。
気を遣ったのが逆に気を遣わせたか。あんまり周りを気にするように見えないけど、実はよく見てるタイプだよなあ、この人。

お礼を言ったら、はにかんだように笑った彼が「うん」と頷く。
どう見てもかわいいよ。私以外でもそう言うよ。絶対。







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