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「広いな…!!」


『とりあえず、近くにあるものから乗ってみようか』




ゲートを抜けて視界いっぱいに広がった「夢の国」。
何度か来たことがあるしテレビでもよく見るから私には見慣れた場所だったけど、杏寿郎にとっては初めて来る遊園地。

子供達に負けず劣らずの輝いた目をしている彼に、今日は楽しんでもらえそうだと早くもそんな予感がした。




『あっちがメリーゴーランドで、そっちがコーヒーカップね』


「??」


『コーヒーカップ、わたし多分酔っちゃうんだよなあ…。メリーゴーランドでもいい?』


「ああ!何でも乗るぞ!!」




入ったらすぐ両脇に見えた可愛らしいアトラクションを見比べて、メリーゴーランドを選択する。賑わってはいたがそんなに並んでいる雰囲気はなかった。これなら次の回で乗れそうだ。

杏寿郎を連れ、一緒に列の最後尾に並ぶ。ちょっとメルヘン…というか、いきなり子供っぽすぎただろうか。
近付いてみたら思ってた以上に馬が可愛らしく、並んでいるお客さんも小さな子供とその親御さんばかりであることに気付いて少し委縮した。私はともかく、背の高い杏寿郎は特に目立つ。

気まずくさせてたら申し訳ないと思って彼を見上げたが、杏寿郎は唯一見える目元でにこりとこちらに笑いかけただけだった。




『わたしこれに乗るから、レンは隣のに乗れる?』


「分かった!」




案内され、回転が止まっている状態のメリーゴーランドの中に入る。

もちろんメリーゴーランドなんて人生で初めて乗るであろう杏寿郎だったけど、ひとつ前の回で乗っていた人の様子を見てどんな乗り物なのかは理解していたらしく、順番が回ってくるとすぐに「どれがいい?」と聞いてきた。
私は背が低いから乗りやすそうなものにしようと思って、小さめの馬を見付けて取られないようにキープする。杏寿郎はどれでも問題なく乗れるだろう。

靴とスカートに気を付けながら跨って、すぐ横にいる彼の方を見る。隣の馬だから手を伸ばせば届く距離。これなら安心だ。
やがて笛のような音と共にメリーゴーランドが回り始めて、子供達の歓声が上がった。




「おお…案外揺れるものなんだな。それに思っていたよりも速い」


『うん、乗ってみるとちょっと違うよね』


「そうだな。…明華、俺ばかり見ていないで、景色も見ないと」


『! そ、そうだね…』




流れている音楽を聴きながら杏寿郎と喋っていたら、ふと彼が笑い出して。何かと思えばそんなことを言われた。
周りの子供達のように手を振る相手はいないけど、確かにせっかく回転してるのにずっとメリーゴーランドの内側を見ていても仕方がない。
言われないと気付かないくらい彼のことばかり見ていたんだと思うと少し顔が熱くなる。しかも本人に指摘されたし。恥ずかしい。


顔を背けるようにして外を見たら視界の遥か先にお城のような建物が見えて、そのうち流れるように後ろの方へと消えて行った。







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