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「おかえり!」




ドアを開けると、すぐに杏寿郎が駆けて来てくれる。




『今日、この後すぐご飯ね〜』


「? わかった!」


『どーしても食べたくなって宅配頼んじゃった』


「たくはい?美味しいのか?」




靴を脱いで家に上がる。いつもなら先にお風呂だけど今日は違う。

荷物を片付けていたらインターホンが鳴って、「何だ?」と戸惑っている杏寿郎に部屋にいるように伝えてからドアを開けた。




『今日の夕飯はピザでーす』


「ぴざ?…美味そうな匂いがする!」




箱を二つ抱えて戻ったら、廊下の途中で杏寿郎に奪われた。
こういう細かい気配りができるところ、さすがだなと思う。

箱を置いたもののテーブルが狭すぎて両方をいっぺんに開けることができない。
仕方ないので片方ずつ開封して皿に載せようとした…ら、一枚丸々を載せられる皿が家になかった。こんなサイズ、一人暮らしじゃまず頼まない。というかそもそもこの家でピザ自体頼んだことがない。

包丁でいくつかに切り分けてから皿に載せる。うん、見るからに美味しそうだ。




『パンもケチャップも大丈夫そうだったから頼んでみたけど…もしダメだったら違うの用意するから、ひとつ食べてみて』


「うむ、いただきます!」




こうやって手で折りたたむようにすると食べやすいよ、と自分のを掴んで見せる。チーズが伸びるのを珍しそうに眺めた後、杏寿郎も一切れ掴んで齧り付いた。




「…!! 美味い!!」


『ふふ、良かった』


「これはたくはいっていうのか?ぴざ?」


『宅配は自宅配達の略で、これはピザ。ピザの宅配をさっき来た人に頼んでおいたの』


「ピザを作って届けてくれる人がいるのか?いつの間に頼んでいたんだな……ああ、スマホか?」


『そ、会社から帰るときにね』




「便利だな」と杏寿郎が感心する。そっちだと連絡はカラスだもんね、と思ったけど喋るカラスというのも異様な気がした。カラスはこっちじゃ喋らないし。
美味い美味いと言いながら平らげてくれる彼を眺めながら、たまにはこういうのもいいかもなと考える。

しばらく見ていたら視線に気付かれて、「どうした?」と聞かれたから「口に合って良かった」と返したら、彼はぴたりと動きを止めた後に背筋を伸ばした。







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