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「明華、もし良ければ手を繋がないか?」
『え?』
「腕を組んでいたら改札は通れないが、手を繋ぐ分には何とか通れるかと思って……」
“離れない”ことを目的にするなら、どちらかが一方的に掴まるより手を繋いだ方が確実。しかもおそらくその方が歩きやすい。最初からそうすれば良かった。
小さな子供が両親と手を繋いで歩く光景なんて、俺の世界でもそこら中にありふれているのに。そもそも何で今の形に落ち着いたのだっけ。
確か最初は俺の家を目指して出掛けたときで、明華がスマホと荷物を持っていたから荷物の少ない俺が彼女に掴まろうって話だった。…ああ、だから俺が掴まってたのか。
それなら俺が明華の荷物を持てば手を繋げるんじゃないだろうか。荷物がなくなればその空いた手を俺と繋いでもらって、スマホの操作は今まで通りもう片方の手でできる。
「嫌…だったか?」
『う、ううん!全然……』
なかなか返事をくれない彼女に、俺とは手を繋ぎたくないのかと思い追加で質問する。
もちろんそれなりに親しい仲じゃないと手なんて繋ぎたくないだろうが、俺なら大丈夫かと思っていた。自意識過剰だったか。
少し寂しくなりながら明華を見たら顔が赤かったから、なんだ、と隠れている口元で微笑んだ。
「(照れているだけか)」
家では同じ布団で一緒に寝ているのに、今更。ふっと笑ってから明華の手を取る。
小さい手。握り締めたら返してくれた。こんなに細い指に守られてるのが俺の方なんて、改めて考えると何だか悔しい。
「(立場が逆だったら、俺が守ってやれたのに)」
きっとそんな日は、この先も来ないのだろうけど。
ぎゅっとその小さな手を握りながら、先程より少しだけ広くなった明華との距離を埋めるように彼女の方に身を寄せた。
片手に収まるほどの
(その小さな手に、俺は支えられている)
END.
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