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『はあ…。』
ある晴れた日の砂の国。
窓から見える青く澄み渡った空とは正反対とも言えるくらい私の気分は落ち込んでいた。
今日だけではない、ここのところずっとこんなかんじの平行線。
任務報告書を片手に持ちながら盛大に溜め息をつく。
今日の任務も何の問題もなくこなして気分良く帰ってきたはずなのに、ここにきてすっきりしない理由は何日も前から明白で。
『我愛羅………ファン多すぎ…。』
部屋に近付くにつれて大きくなる女の子の声が気のせいでないのくらい、誰にだってわかる。
例外なくそれは私にも分かってしまって、昨日も一昨日もこうだったと思いつつ相も変わらずまた溜息をつくのだ。
『…はあ……。
気まずいっての……。』
ずるりと壁にもたれかかりながら吐いた独り言は響くこともなく溶けて消えた。
気まずい理由はひとつしかない。
一言でいえば、私が我愛羅の彼女だから。
もともと木ノ葉の上忍である私は本来ならばここにはいない。
忍は任務でもない限り自分の里で働いている。
しかし私に関しては特例というのかある意味任務というのか、“風影命令”で1ヶ月の間に二週間ほど砂に来る。
いくら命令といえど裏を返せば単なる我愛羅の我儘であって、それで任務を二週間も休む訳にはいかずここでも任務をこなすことにしている。
彼の職権乱用でいつもよりやや簡単なものになっていることに関してはもうしばらく前に諦めて何も言わないことにした。
結婚こそしていないものの、私が我愛羅の彼女だということは周知の事実。
しかしながら彼のファンは思っていたよりも減らず、むしろ風影になったことで前よりも増えた。
当然彼女達が私を良い目で見る筈がない。
『…どうしよっかな』
報告書を出さない訳にはいかない。
こうなればまた昨日のように入れ違いを狙うしかないかと、しばらく部屋の前で待つ事にした。
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