君からのプレゼントは、

 



『凄く綺麗ね』




窓から外を眺める架音、それを眺める俺。

彼女が目に映すのはイルミネーションで美しく彩られた街。普段暗くて静かなここから見える夜景が今日はがらりと印象を変える。
一年に一度訪れる、クリスマス、とかいうイベント。


「パーティ楽しみだなあ」と呟く架音はこちらを振り返ることなく話し続ける。
その楽しそうな声色に、どんな顔をしているのか見たくなって一緒に夜景を見るという口実で近付いた。




『あ、そうだ!』


「!」




何の前触れもなく突然振り向いた架音に思わずびくりとする。
何かと思っていれば、架音は自分のカバンからなにやら袋を取り出した。




『これあげる!』




リボンで飾ってあるそれはどうやらプレゼントのようで。
こちらに差し出されて、反射的に受け取った。




「……俺に?」


『偶然通りがかったお店で売ってたの。すっごく綺麗な赤で、我愛羅に似合うと思って買ってきちゃった』




にこり。微笑んだ彼女はやけに嬉しそう。

開けてみてと促されるままに袋を開封してみれば、出てきたのは一本の赤いマフラー。
しばらくじっと眺めていたら架音に奪われて、数秒後に首元でふわりと風が舞う。




『やっぱり、赤似合うね。我愛羅』




――買ってきて良かった。
俺にマフラーを巻き終えた彼女が目を細めて微笑む。


その笑顔が、あまりにも綺麗だったから。
金縛りにでもあったかのように全身が固まって、動くことが出来なかった。




『…我愛羅?』


「…!
……、すまない」




瞬きすら忘れていた俺は不思議そうにこちらを覗き込む彼女の言葉でようやく我に返る。


――ああ、
完全に見惚れていた。




『それ、わたしからのクリスマスプレゼントね。良かったら使って。
それとね……ここに来たら絶対、言おうと思ってたんだけど』


「…?」


『いざ来ると、…へへ、緊張するね』


「……何かあったのか?」




イルミネーションをバックにこちらに向き直る彼女。
彼女の意図することは自分にはわからない。


ただ唯一分かったのは、マフラーと同じ色に照らし出されていた架音の頬と、




『…好きなの、我愛羅』




寒いはずなのにやけに感じる熱、だ。









(俺が一番欲しかったプレゼント)





END.