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ある日、架音は改まったようにして俺の前にヒョコっと現れた。



『が、我愛羅ー。あのね、聞きたい事が。』

『なんだ?改まって。』

『我愛羅は私の事、どう思ってる?』

『馬鹿でうるさいじゃじゃ馬。』


格別深い意味はないと思い、軽く受け流す俺。
架音はそんな俺に頬を膨らませ、顔を赤くさせた。



『違ーーう!!そういうことじゃなくて、私の事をす、好きか嫌いかで答えて欲しいの!』

『!』


カシャン


自分の想いが悟られてしまったのかと動揺し、手に持っていたコーヒーカップを落としてしまった。


『が、我愛羅!?大丈夫?』


慌てて床に落ちたコップを拾おうとする友那の手を払い除けると、パチンと鈍い音が響いた。


『我‥愛羅?』
(もしかして、怒ってるの?)

『何故そんなことを俺に聞く?』

『…えー‥と、そのー………。』



目を泳がせ、しどろもどろになる架音に、我愛羅はつい冷たい一言を浴びさせてしまう。



『そういう話はカンクロウとすれば良いだろう。』

『え…』

『俺はそんな下らない感情など持たない。‥おまえの事も馬鹿女としか思っていない。自惚れるな。』



その言葉を聞いた刹那、架音は涙が溢れた。


『万に一つの可能性も…無いんだね。』


か細く声を震わす架音は、そのままどこかへと走り去って行った。



一人残された我愛羅は思考が追いつかない頭で、今起きていることを必死に理解しようとしていた。



『なんなんだ…』

万に一つの可能性…?
あいつは一体何を言いたかったのだろうか?


何故、あんなコトを俺に聞いてきた?

カンクロウと想いあっているのではなかったのか?



『さっぱり分からん。』



架音の、いくら考えても分からない言動の数々。
苛立ちのせいか忙しく徘徊していると、気付いた時にはカンクロウの目の前にいた。



「ん、我愛羅?そんなところに突っ立ってどうしたじゃん?」


カンクロウの姿を見た瞬間に、今までせき止めていた想いが溢れ出す。




『貴様は‥本当にムカツク奴だ。』


自分の身丈くらいの瓢箪から砂がさらさら〜と宙を舞い、カンクロウを締め付けていく。


「ちょ、待つじゃん!!俺が何かしたなら謝るから落ち着いてほ『黙れっ!!!』……!」


肩をわなわな震わせ今にも泣き出しそうな弟の姿にカンクロウも二の句が接げなかった。


『…おまえに敵わない事など知っている。まして、あいつがおまえを選んだ。なら、俺はただ見守るべきなのも知っているんだ。だが…』


地を這うような低い声にカンクロウは背筋が凍った。


『おまえがあいつに淋しい想いをさせて、俺のところに来るんだとしたら‥俺はおまえを許さない。』



淋しさを紛らわすためだけに俺にあんなことを聞いてきたのだとしたら…



たとえずっと架音の側にいられるのだとしても、
きっと虚しく惨めな想いを、お互いにするだけだろう。


だから嫌なんだ。
できることなら、このまま2人に幸せであってほしい。







俺は…それでもいいと思えるから。









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