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「(お、重い……!)」




学校の荷物を全て持ち帰る長い休みの前よりも、その明けの荷物を持っていく日よりも。
一年で最も荷物が重くなる日がやってきた。

そう、今日は。




「サスケくーん!」


「待ってー!」




遠くに聞こえる特有の甲高い声に、本日何度目かの嫌な予感を感じて肩を震わせた。

2月の恒例行事、バレンタインデー。
いつもは耳に入っても反応はしない女子の声に、今日は大袈裟に反応した。




「これ!受け取って!」


「わ、私も!」


「…あ、ありがとう……。」




きゃー!なんて言いながら走り去った女子二人。女という生き物はどこからあんな高い声を出しているのだろう。
半ば無理やり渡されたプレゼントのせいで限界に近かった大荷物は更に増えた。
しかし貰ったものはどうしようもない。

仕方なしに母から「持っていきなさい」と渡された紙袋を開いてそれを入れる。というか乗せる。そろそろ本気で限界だ。
こんな状況でも断れないのは性格のせいか。かと言って好意で渡されるものを断るにはどうも気が引ける。




「(早く家に帰ろう…!)」




断れないのならば貰う前に去るのみ。
両手に抱えた紙袋の中身が落ちない程度に早足に歩く。
さすがにもうこれ以上は無理だ!




「――サスケ」


「!
兄さん!」




前方から聞き慣れた声。
抱えた荷物で見えなかったようだ、不意に聞こえたその声に少しばかり驚く。

兄は自分から紙袋を取り上げると、元来た道を引き返した。




「母さんに言われて来たんだが…やっぱり今年もこうか」


「どうせ兄さんもでしょ」


「……ふ、」




隣で苦く笑う兄に釣られて、自分も軽く苦笑いした。