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『サスケ!久しぶり!』


「え、あ…うん、久しぶり……」




母がドアを開けた直後、目に映る架音の姿。
もう何度も見てきたその姿にも心臓がどくんと跳ね上がる。
返した返事は明らかに動揺していた。

「なに緊張してるのよ」と笑い、すぐに「イタチは?」と兄を探し始める架音にむっとした。
久しぶりなんて、半年ぶりに会ったのにたった一言。所詮オレなんて眼中にないのか。




「架音」


『イタチ!』




部屋から荷物を持ってきた兄がドアから顔を覗かせる。
途端にぱっと明るくなる架音の顔が悔しい。
架音の笑顔は好きだが、自分以外へ向けられているものだと思うとあまりいい気分ではない。
終いには架音が兄の元へ駆け寄って楽しそうに話しながら向かってくるものだから、機嫌は悪くなる一方。




『今年も凄い量だね!イタチは好きな人いないの?』


「……いないが」


『えー、つまんない。まあいたら私が妬いちゃうけど。なんてね!』


「なんだ架音、妬くのか」


『冗談よー、でも遊べなくなるなら寂しいわね』




――ほら、やっぱり兄さんは架音相手だとああなる。
クール取り繕ってるけど、オレからすれば顔が赤いのもそれを隠そうとして顔を背けてるのも全部分かる。
架音は本気で気付いてないのだろうか、もしそうなら言ったらどうなるんだろう。
それにしても二人は相変わらずだ。




『…サスケ?何怒ってるの?』


「………別になにも?」


『怒ってるじゃん!…ああ分かった、チョコ数えてみたらイタチの方が多かったとかでしょ?』


「そんなんじゃないよ!」




いつから兄と競うようになったんだ。そもそも数などどうでもいい、数えたこともないと慌てて反論する。
が、架音越しに見えるやけに不機嫌な兄の姿にぴたりと思考回路が止まった。




「(…もしかして、)」




――妬いてる?
その姿がさっきの自分と重なって、普段は何を考えているのかよく分からない兄の考えが今回はすぐに読みとれた気がした。


今なら、勝てるかもしれない。




「まず勝負なんてしてないし、大体チョコの数なんて多けりゃいいってもんじゃないだろ?」


『そういえば去年もしてなかったね。二人なら絶対勝負すると思ってたんだけどなー、サスケって負けるの嫌なタイプでしょ?』


「誰だって負けるのは好きじゃないだろ!」


『ほら認めた。サスケも変わってないよねー、そういう所』


「…架音」


『あ、ごめんねイタチ!早く食べたいよね?』


「……ああ、だから早くしよう」


『あれ?やけに素直だね』


「…、別に」


「……」




邪魔された。やはり兄さん相手にこんな手は通用しないか。
早く食べたいなんて嘘に決まってる、食い意地はるような人でもないし。
まあ少し架音と話せて珍しいものも見れたからいいか。




『さ、本題!どれとどれ食べていいか教えて?それと、私が食べたのは秘密だからね!女の子の夢を壊すとばちが当たるわよ!』


「分かってるよ……」


『で、私からもお願い。
ついでと言っちゃあれだけど、これも一緒に食べてくれない?』


「「?」」




架音が手に持っていた荷物。あろうことかその中からそれなりの量のお菓子が。
ひとつふたつではない。




『先輩と後輩から貰ったの……。
私が甘いもの好きなの知れ渡ってたのかしら…好きだけど、こんなに食べ切れないし持ってきちゃった』


「…ふーん……」




“逆チョコ”か。隣にいた兄となんとなく察する。
大方任務仲間に貰ったのだろう、それも包み紙からしておそらく男。
本命も混ざっているに違いない、むしろ全部本命だろうか。




『そんな訳で増えちゃったけど…食べますか!』


「…オレはあんまり食べれないよ?」


『大丈夫、イタチと私で消費するから!』




「いただきます」と、甘物好きの二人は早速ひとつずつ箱を開け始めた。







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