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※イタチ夢「MerryChiristmas!」と同じ、ふざけた世界線です。

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「侵入者だ!起きろ架音!」




クリスマスイブ、深夜11時を回った頃。
世の子供たちが次の日を楽しみにしながら眠りに就いたであろう、そんな時間。

S級犯罪者組織こと“暁”のアジトに、突如ドカァンと大きな音が鳴り響いた。




『…とっくに起きてるけど。ていうかそれ、アンタが言うセリフ?』


「こいつがたった今、お前の部屋にこっそり入ろうとしていた」




大きな音の原因である吹き飛んだドアと、その上に横たわっている一人分の人影。
倒れたままぴくりともしないその人物をこの部屋の主である架音がベッドから起き上がりつつ横目に見る。どうやらドアと一緒に飛ばされたようだが、特に助ける気にはならない。

月明かりだけでも分かる艶のある長い黒髪に、整った顔と他人に表情を読み取らせないポーカーフェイス。そしてその美しい見た目に全くと言っていいくらいにそぐわない、上から下まで真っ赤な衣装とやたらと目立つ白い付け髭。
ドアの上で転がっているのは、S級犯罪者の中でも特に名の知れ渡っている男“うちはイタチ”だった。


世間から見れば彼は一族殺しの犯罪者なのだが、本日はクリスマスということで愉快なサンタの格好をしている。
今のイタチの写真を撮ってばら撒いても合成か何かだと疑われるだろう。真夜中にこの人のせいで自室のドアが吹き飛んでしまった架音からすると合成もしくは夢であって欲しかったのだが、残念ながらこれは現実である。

思い出されたのは去年のクリスマス。2年連続で平和なクリスマスが過ごせなくなるとは思っていなかった。




「オレが侵入者だと?…お前にだけは言われたくないな」




ここでようやく、架音の部屋に入ろうとしていたところを後ろからドアごと蹴り飛ばされ、結果的に入室することになったイタチがむくりと起き上がる。
衝撃でずり落ちた帽子と髭を直し、数分前まで正常にドアがあった場所に立っている“その人物”を見据えた。




「オレは暁に所属している。侵入者と呼ぶならお前の方だろう……サスケ」


「夜中に女の部屋に忍び込もうとしてるんだ、アンタも立派な侵入者だろ!」


『どうでもいいんだけど大声で騒がないでくれる?今何時だと思ってるの』


「「ごめんなさい」」




日付が変わる前には全員就寝。もはや一般家庭の夜更かしをする子供よりも良い子が揃っている犯罪者組織。


“サスケ”と呼ばれたその男は実の兄であるイタチに負けず劣らずの美しい顔を歪めた。
彼はイタチを倒すために修行の旅を続けているが、今日ここで出くわす予定はなかった様子。




「チッ……。架音に手紙だけ渡したら帰るつもりだったのに…」


『…それにしては派手な登場だったけど。
ていうかこのアジト、結界張ってなかったっけ?どうやって入ったの?』


「それなんだが、架音の誕生日4ケタで解除できたから結界張った奴にもう少し考えるよう言っておいてくれないか?」


『ウチのセキュリティそんななの!?』


「どうやらそうらしい。これを言ったら次にオレが来たときに入れなくなるんだが、言わずにはいられなかった」


「明日の朝、起きたらまずリーダーをシメる。ありがとうサスケ」




イタチが無表情でパキパキと指を鳴らす。これで明日、リーダーにはメリーなクリスマスではなくブラッドなクリスマスが訪れることが確定した。架音とサスケは静かに合掌するが、自業自得なので同情はしない。安らかに眠れ。
リーダーには世話になっているけども、付き合ってもないのに勝手に誕生日をパスワードにされるのは普通に気持ち悪いなと架音は遠い目をしていた。


ふと本題とは全く関係のない話に気を取られていたことに気付いたサスケが、「そんなことより」と自分の服のポケットを漁る。