いつか星になるその日まで
『…ん』
人知れず唇を重ねれば、そいつはぴくりと反応して。
その反応までもが愛おしくて、勢いのままに掻き抱く。
「架音…」
『好き…イタチ』
ぎゅっと力を込めれば架音も呼応するように力を強める。
数秒そのまま抱き合って、彼女が力を緩めたのを合図に腕を解いた。
『いつになりそう?』
「あと一ヶ月…だ」
『…そう』
ふ、と架音が目を閉じる。
「例の任務」。
架音は全てを知っていた。
──“うちは一族全員を抹殺せよ”──
『酷い話……身内に身内を殺せだなんて』
「……」
『その上、ご本人は里抜け強制で犯罪者になるだけなんて。
イタチはきっと悲劇のヒーローで終わっちゃうわね』
――貴方はそういう人だから。
オレの胸に寄りかかった彼女を撫でながら目を細める。
色白の肌、母によく似た長い綺麗な黒髪。
任務の暗殺者リストに載っていた、血の繋がった双子の妹。
「それで構わない……それに、悲劇ではない」
『どうして?』
「…お前がいるだろう?」
そう言えば、架音は軽く笑って。
弧を描いた唇の端に、口付けをひとつ。
「オレがやらなくとも、うちはは抹殺される。
暗部はお前が任務のことを知っているとは思っていない……オレが動かない限り、お前も殺される」
『…守ってくれないの?』
「守らないわけがない…が、里の暗部全員相手に守りきる自信はない」
『イタチがそんなこと言うなんて珍しいわね』
「一緒に任務をしてきたんだ…実力くらいわかってる。だからオレがやるしかないんだ。
父上や母上…サスケと過ごせるのも、木ノ葉にいられるのも……あと一ヶ月、だ」
少し前から嫌な予感はしていた。だんだんと露骨になっていく差別、それに対するプライドの高い自分の一族が考えそうなこと。
頭の中のイメージでしかなかった最悪の結末が刻々と近付いているのは、感じていた。
全てを確信したのは任務内容を聞いたあの日。もう逃げられないと、そう思った。
だからこそ、完璧にこなしてみせると頷いた。覚悟は出来ている。
『ねえ、本当に着いて行っていいの?』
「もちろんだ…オレはお前がいるのを前提で話してる」
『あら……そうなの?』
嬉しいわ、なんて。確実に進んでいくカウントダウンを架音も感じているはずなのに彼女は笑ってみせる。
一ヶ月後、嫌でも訪れるその日にお前はきっと泣くだろう。おそらくその隣で、自分も。
それでも乗り越えられる自信があるのは、今この温度をこの手で感じているからか。
「本当は…お前を殺して、オレも死のうかとも思った」
『それもいいわね?』
「でもやっぱり、もう少しお前といたいから」
いつからか気付いていた自分の気持ちに彼女は応えてくれた。
初めて口付けを交わした時から、オレは少しだけわがままになっていて。
全員抹殺しなければならないはずなのにどうにかこいつと一緒に逃げられないかと考えて、結果的に極秘情報を漏らす始末。
それでも一緒にいたいと思ってしまう自分はいつから狂ってしまったのだろう。
「…お前はオレを、一生愛してくれるだろうか」
『そのセリフそのままお返しするわ』
「………、ふ」
無邪気に笑う架音に、何だオレだけじゃなかったかと嘲笑う。
窓から入る月明かり。目で追ってみれば空にはたくさんの星が瞬いて。
点滅を繰り返す白い小さな光に、自分達の未来を重ねた。
いつか星になるその日まで
(きっと、私達は愛し続ける)
END.
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双子兄×妹
禁断系大好きです。
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