いつものお返しに不意打ちはいかが?
「おーい、レン!朝だぞー」
二階の寝室にいる彼女に叫ぶ。
昨日の戦闘で疲れたのか、いつもオレより早く起きているレンは、オレが起きてから一時間以上しても起きて来なかった。
そろそろ起こしてもいいだろう、とレンを起こしにかかる。
レンがいないとこんなにも暇になるとは。
朝ご飯も、どうせなら二人一緒に食べたい。
「レン〜?」
階段を上り、レンの部屋へ向かう。
部屋のドアをノックしたが、返事はなかった。
「…入るぞー?」
ガチャリ、と扉を開ける。
ベッドの上に、彼女を見つけた。
「(よっぽど疲れたんだな…)」
未だに目を開けない彼女。
静かに、布団を乱すこともなく眠っている。
とりあえず近くまで寄って、顔を覗き込んでみた。
まだ起きない。
「……」
しばらく寝顔を見ていたら、ある衝動にかられた。
キスしたら起きるかな、とか。
どっかのおとぎ話で読んだことがある。
王子様がお姫様を、キスで目覚めさせたって。
「(……)」
ちょっとドキドキしながら、顔を近づけていく。
キスはいつもしてるけど、今回のドキドキは数割増だった。
途中で起きたらどう言い訳をしよう、なんて考えながら。
徐々に近づいていく。
あと30cm。
あと20cm。
あと10cm。
あと5cm。
あと……
「…んんっ!?」
あと3cmを切ったところで、グイッと後頭部を押され、レンの方へと引き寄せられた。
もともとキスするつもりだったので、そのまま唇と唇が重なる。
数秒後、離れたレンの唇は弧を描いた。
口角を上げた彼女は、ゆっくりと目を開く。
『おはようリンク』
「……ッ」
不意打ちと驚きで、顔が熱くなるのを感じた。
言葉を発する余裕もないオレに対して、レンは落ち着いてるどころか余裕綽々。
オレの頬に軽くキスして、レンの唇は再び弧を描く。
『たまにはこういうのもいいでしょ。
好きよ、リンク』
唇に、再び温もりを感じた。
いつものお返しに
不意打ちはいかが?
(あのなレン…。
あんまりかわいいと、朝っぱらだからって
何やるか分からないからな)
(……変態は嫌いよ)
END.