幸せについて

 



「女の子はプレゼントに弱い。違う?」


「はあ?」




なんの前触れもなく唐突に話を振ればなんとなく思った通りの反応が返ってきた。

城下町、夕暮れ時、街角にて相棒のミドナと。




「今日市場に買い物行っただろ?そん時思ったんだよ。オレ、レンにプレゼントってあんまり買ったことないなって」


「…はあ」


「別に買いたくないとかじゃないんだよ。今まで買う店があんまりなかったんだ。
でも今いるのは城下町だからな…買い物中にきょろきょろしてみたけど案外いろいろありそうだった」


「…まあ、ここは栄えてるからな」


「女の子ってプレゼントに弱くないか?オレの勝手な想像だけど。間違ってる?」


「間違っちゃいないだろうよ」


「だろ!?」




住んでいた村から飛び出して数ヶ月。一緒に旅をしているのは相棒のミドナと恋人のレンだけ。
レンのことで困ったことがあったらオレはこいつ以外に頼る人がいない。

今日、食料を確保しつつふと目に入ったのはキラキラしたアクセサリーの類。見た感じでは個人が開いているようなお店だった。多分探せば他にもいくつかあると思う。
オレは男だからよくわからないけど、女の子ならああいうものにときめくのだろう。




「やっぱりネックレス?それともイヤリング?レンってイヤリングの方が好きかな?」


「ワタシが知るか…本人に聞けよ」


「聞いたらサプライズじゃなくなるだろ!」


「……ハァ」




至極めんどくさいといったような相棒を横目に、早速明日から実行だとオレは一人意気込んだ。




──




「聞いてくれよミドナ!うまくいったんだ!」


「あ〜…ハイハイ……」




初日の報告。結果からすれば上々だった。
レンにプレゼントしたのは綺麗な石のついたネックレス。レンに一番似合いそうな色を選んだ。
ラッピングしてもらったものをレンに渡したら、とても嬉しそうに付けてくれた。




「明日は何がいいかな」


「明日も買うのかよ…」


「そりゃな!次いつ買えるかわかんないし!」


「…まあ、ほどほどにな」




ここみたいに装飾品が豊富に取り揃うような街はこの先いくつあるかわからない。買える時に買っておかないと。
もっとレンの喜ぶ顔が見たい。




「じゃ、また報告に来る!」


「来なくていい」


「そう冷たいこと言うなよ」




相変わらずめんどくさそうな相棒は、オレの高めのテンションに再び溜息をついた。




――




「……なあミドナ」


「なんだよ」




プレゼント作戦もこれで何回目になるだろう。


ネックレスから始まり、イヤリング、ブレスレット、スカーフ……いろんなものを今までの貯金を使ってプレゼントしてきた。




「ここんとこレンがちょっと困った顔するんだ。どうしてだと思う?」


「………」




作戦4回目くらいからだろうか。レンが、嬉しそうな顔に混じって困った顔をしだした。
多分彼女なりに隠しているつもりなのだろうけど、声のトーンでなんとなくわかる。




「どうしてって…あげりゃいいってもんじゃないだろ?そんなこともわからないのか?」


「……わかんないよ。オレ、こういうことしたことないんだから」


「ハァ…。
レンもなーんでこんな男選んだんだか」


「………」




呆れたようなミドナ。このままではきっとレンは明日も同じような顔だ。

自分が不器用なことくらいわかっている。恋愛も初めてでいまいち空回ることが多い。
行く先々で困ったことがあるとヒントをくれる相棒は、足を組み替えてふわふわと目の前まで飛んできた。




「オマエ、ちゃんとレンの幸せ考えてるか?」


「……レンの?」


「そう。レンは別にオマエからのプレゼントが気に入らないわけじゃないさ」


「でも喜んでくれない…」


「だーかーら。
オマエ、ここ数日レンと過ごしてたか?ワタシには、放置してるように見えたが」


「…!」




ミドナの言葉に顔を上げる。
レン。確かにここのところずっと街を駆け回っていたからあんまり彼女と共に過ごしていない。




「もう一回言うけど、なんでレンはオマエなんか選んだんだろうな?」


「………うん。ダメだな、オレ」




レンのことは誰よりも想ってるはずなのに空回ってばかりだ。


レンの幸せって何だろう。オレのこと好きだって言ってくれるレンの幸せって何だろう。

今考えたら、馬鹿らしいほど簡単に答えが出せる。




「!」




視界の先で、人混みに紛れて道を歩くレンの姿。オレがあげたスカーフを首に巻いていた。
そうだ。彼女は別に、オレに“モノ”を望んでいたわけじゃない。“モノ”を貰って喜んでいたわけじゃない。今わかった。

きっと“オレ”があげたモノだったから、喜んでくれたんだ。
“モノ”が中心なわけじゃないんだ。



大声で叫ぶ。




「レンー!」


『…!』




手を振りながら呼べばこちらを振り向くレン。両手に荷物を持っていたから手を振り返すのは難しそうだけど。


賑わう城下町。横切っていくたくさんの人々。
不器用でもいい。きっとレンなら、許してくれる。




「好きだー!」


『!!』




不器用なオレなりに。

誰よりも大好きな君に、ありったけの愛を叫んだ。







本気出して考えてみた


(オマエってほんと馬鹿だよな)
(真っ直ぐって言えよ!)
(リンク!わかったからこんなとこで叫ばないでよ…!)







END.


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タイトルはポルノより。
二周年さんくす!


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