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『はーあ』




学校から帰宅して、ベッドにダイブ。
ぼふりという感触と共にマットレスに沈み込む。

やけに体が重く感じると思えば、沈み込んだのは精神も一緒だったみたいで。




『(次はいつ会えるかな)』




ベッドに放り出されたケータイを見る。
あれ以降一向に返ってこなくなったアイクからのメール。


先生に呼ばれでもしたのか、部活で忙しくて返す暇がないのか。
どのみちこの時間ならもう当分返ってこないだろう、そう思いベッドから這い出て宿題に取り掛かる。
今日は生物の宿題が出ていたはず、問題集を取り出して机に広げる。


それから10分もしないくらいで、インターホンが鳴ったのが聞こえた。




『…?』




一瞬他の家かと思ったがこの音はおそらくウチ。しかし出る気はない。
親もまだ帰ってない、普段通り居留守を決め込んだ。どうせいつもの営業か何かだろう。

が、2回、3回としつこく鳴り響くインターホン。配達か親の知り合いだろうか、渋々立ち上がってモニターを見に行く。
ボタンを押して、画面に映った姿に思わずドキリとした。


下を向いていて顔はよく見えなかったが、すぐにわかった。
息を切らして肩を上下させている、ここにいないはずのその人。

慌てて玄関を飛び出す。




『アイク!なんで…』


「なんで…って、お前が呼んだんだろ」


『…! ……うそ、それで?』




苦笑するアイク。
ふわっと抱き寄せられて、胸が高鳴ると同時に外でもお構いなしな彼に赤面する。

誰かに見られでもしたらと家に招き入れた。




『部活は?』


「初めて仮病を使った」




カーペットの上にドカッと座ったアイクに手招きされて、正面から抱きついて腕を背中に回す。
久しぶりのその感触は嬉しいものの、申し訳なさも募る。

アイクは真面目だ、授業も部活もサボるような人ではない。




『ごめんね、明日怒られちゃうかな…』


「大丈夫だろ、バレやしない……俺もそろそろ限界だったところだ」


『…ん』




ワガママに付き合わせてしまったと思ってたのはわたしだけだったみたいで、言い終わると同時に口付けられる。考えてみれば、あのアイクがサボってまで会いに来てくれた時点で、もう。


確かめるかのように何度も何度も角度を変えて、だんだん深くなっていくそれにわたしも必死に応えた。




『っん……!あ、…』


「……ん、レン、母さんは何時帰りだ」


『あと2時間は帰って来ない…』


「そうか」


『…!ちょっと』




カーペットの上に押し倒される。
抵抗して少し睨んだら、「最後まではやらない」とアイクが妖しく笑った。




『……ばか』


「そうだな、でもさっきの、誘ってただろ」


『そんなことは……、
…!ん…ちょっと、目立つとこやめて』




首筋に吸い付かれて身をよじる。
「隠せばなんとかなるさ」と軽く流された。


もう、と言いつつもキスで簡単に黙るわたし。
見下ろされて頭を軽く撫でられて、深い青の瞳と視線が合う。




「俺だって、会いたかった」


『………、』


「本当は…1ミリだって、離れたくない」


『…うん』




そう言うアイクの顔が切なくて愛おしくて、こちらから口付ける。
驚いたのか目を軽く見開いたけど、すぐに後頭部に回る大きな手のひらを感じた。


会えなかった寂しさを埋めるように、また明日から続くであろう寂しさを半減させるように。
何度も何度も口付けを交わして、ゼロ距離で「すき」と「あいしてる」を言い合った。






チ。2


(気持ちが5センチ以上離れませんように)





END.