愛情表現
「……ねえレン…我慢できねーんだけど……」
ソファーの上。
隣に座っていたグリーンに、勢い良くぐいっと引き寄せられる。
今まで本を読んでいたのだが、強制的に彼の方を向かせられた。
グリーンのつんつんした髪が軽くあたった。
鼻先が触れるか触れないか。
顔と顔の距離は10cmもない。
しばらく見つめあった後、私が口を開く。
『へー、そうなんだ』
「えっ」
しれっと答え、体勢はそのままに顔を本へと戻した。
グリーンが固まる。
「(ちょ、ちょっと頑張ってみたのに…!)」
予想の斜め上のレンの対応に、グリーンがショックを受けた。
家に二人きり。
一緒に暮らしている姉は、買い物だと言って出かけた。
二人きりにも関わらず、ソファーで本を読んでいた彼女。
いつもあまり自分は積極的でないので、今日は少し頑張ってみようと思った。
隣に座ってくっついてみたりしたが、反応がなかった。
少し肩をつついたり、話しかけたりしても同じ。
そして勇気を出して行動に出た結果がこれである。
正直、これ以上のできそうなことがなかった。
さっきのでも自分の中ではかなり頑張った方である。
はあ、とソファーに座り直した。
あんなに緊張したのに…と一気に気が抜ける。
彼女が冷たいのはいつものことだが。
そんなグリーンを横目で見ていたレンが、不意に本を閉じた。
「……!え、」
完全に気を抜いていたところを、肩を押されてソファーの上に押し倒された。
レンの影で視界が少し暗くなる。
ギシ、とソファーが重みで沈んだ。
近くのテーブルに放り投げられた本は、バサッと音をたてて閉じた。
『……で、何が我慢できないの?』
「!」
見上げたレンと視線が合う。
ニヤリと彼女は笑った。
『言えないのに誘ったの?』
「…ち、ちが……ッあ」
ぐっと近付いてきて、耳元で囁かれる。
かかった吐息に身体が反応した。
顔が熱い。
そのままペロリと耳を舐められ、思わず身体が跳ねた。
「ひあ、ん……!やっ…!」
『や?』
「んんっ」
力が入らず、抵抗ができないまま唇を塞がれる。
舌が割り込んできて、自分のと絡んだ。
ちゅっと音がして離れ、口の端から溢れた唾液をレンが舐めとる。
ハァ、ハァと肩で息をした。
『…グリーンにしてはいつになく積極的じゃない、どうしたの』
「……レンがっ、構って、くれねーから……。
それにオレ、いつも負けてるから、たまには……」
『……
結局負けるんだから諦めなさい』
「!ぅあ」
首筋に軽く痛みが走る。
レンの口が離れる頃、その場所に薄く赤いマークがついた。
同時に、つ、と太ももをなぞるように撫でられる。
身構えたが、レンは自分の上からどいてソファーに座り直した。
「……え」
『なによ?期待した?』
「そ、そんなこと」
『…そ。
もうすぐお姉さん帰ってくる時間でしょ』
「え?もうそんな時間?」
『そうよ』
起き上がって時計を見る。
姉が買い物から帰ってくると言っていた時間まで、10分を切っていた。
「あ、ほんとだ…………!」
抱き寄せられる。
ぎゅっと抱き締められた。
再び耳元で、静かに。
『続きはまた今度ね』
「…!」
ニッと笑ってレンが離れる。
顔がまた熱くなるのを感じた。
男として押し負けるのは悔しいけど、正直しばらくは勝てそうにもない。
何事もなかったかのように、再び本を読み始める彼女。
冷たい反応をするのは、本人が「素直になれないの」といつか言っていた。
いくら冷たくされようが嫌いになれないのは、そのせいだと思う。
たまに控えめに甘えてくるレンに、いつもの態度はレンなりの照れ隠しだと、オレもわかっていた。
「…って、レンキスマークつけただろ!
どうすんだよ、もうすぐ姉ちゃん帰ってくんのに…」
『別に気づかないわよ、なんか言われたら虫さされくらいにしておけばいいじゃない』
「ったく…」
噛まれたところを触る。
鏡に映すと、多少赤かった。
姉に気づかれたらと思うと少し心配だが、愛されてる感じがして嬉しかった。
『グリーン』
「ん?」
『……ごめんね、嫌いにならないで』
「何言ってんだよ」
素直じゃないところも、たまに急に素直になるのも、オレが負けるくらい積極的なところも、
全部オレが好きな、レンの愛情表現。
愛情表現
(でもやっぱり男がこれってどうなんだよ?)
(私攻める方が好きなの、グリーンは今のままの方がかわいくて好き)
(………(複雑…))
END.
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完全にTwitterの影響です…
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