センジョウ恋愛

 



「あれ、レン?」




青々と真夏の澄んだ空が広がり、サンサンと太陽が照りつけ――

と言うのは一時的であり、時々竜巻が発生したり爆弾が飛んできたりする。
そう、ここは“あの船”の上。

今は静かだが、いつ座礁しても竜巻に巻き込まれてもおかしくはない。
そんな船をモチーフにしたステージに少女が一人、柱にもたれて寝ていた。


よっぽど疲れているのか、大乱闘で上位に入るタイプで気配には人一倍敏感であるはずの彼女が今回はオレの気配に気付かないらしい。




「レンー、多分そろそろ爆弾飛んでくるぞ?」




呼び掛けてみるが返事はない。
随分前からここで寝てるとしたら、竜巻に呑まれるやらの何かしらあっただろうしその時に起きているはず。
その後すぐに気配に気付けないほど深く眠れるとも思えない。




「(相当深く眠らないとこんな所で寝てらんないよな…起こしちゃ悪いかな)」




本当は練習に来たのだが、それで起こしても悪いかななんて。
爆弾でも起きてない可能性はあるが確信はないし。

しかし静かな場所なんて他にいくらでもあっただろうに、なぜこんなところで。
よっぽどタイミングが悪くて仕方なくここになってしまったのか、あえて誰も来ないだろうと踏んでここにしたのか。




「(…にしてもレンが寝てる所なんて、初めて見たな)」




大乱闘で上位を争うほどの強者だから、それなりに逞しい彼女。それはもう守る必要もないほどに。
でもこうして無防備に寝ていると完全に一人の女の子で、普段の強さが想像もつかない。


顔を覗いてみる、長い睫毛と潤った唇にドキリとした。




「(………、)」




衝動、だった。理由なんて分からなかった。

その整った唇に、軽く触れるだけの。




「(…う、わ)」




なんてことしたんだろ、なんて。今更後悔したところで何も変わらない。
想像以上に柔らかい感触にばっと顔が熱を帯びる。




「(だ、誰も見てなかった……よな)」


『……リンク…』


「!!!」




まずい。
一瞬で自分の中の全てが凍りついた。


が、想像に反してレンは静かなまま。
よく見れば目も閉じたままでそれ以上何も言わなかった。

――もしかして、寝言。
しばらくしても変わらない状況に酷く安堵して、自然に顔が緩む。


そんな安心も束の間、練習場所を変えようかと立ち上がった瞬間に聞こえた声に再び凍りついた。




『…責任、とってよね』







×

(おおお起きてたの…?)
(…真っ赤)
(え、そ、それは…)
(何か言うことは?)
(え……あ、ご、ごめん……ほんとにごめん…!)
(…そうじゃなくて)
(へ…?)
(好きって、ちゃんと言ってよ)



END.






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