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「…てかさ、告ってきた子がどんな子かは知らんけど、言い分は別に変ではなくね?」
「え?」
『うん、わたしもその子の言ってることは分かるな〜』
「えっ?そうなのか!?」
三人が荷物をまとめて帰り支度をする中、ボタンが先程の続きを話し始める。
どうやらボタンは、あの女子に同調するらしく。さらにレンも同じ意見らしい。多数決で言えば一気にオレが劣勢になった。
オレとレンがどんなに仲良くても告白する価値はあるってことか?レンアイ、よく分かんねー。
レンと仲良いのを知ってたら、オレと付き合えるかも〜なんてハナから思わないんじゃねえのか。ハテナマークを飛ばしまくるオレに、横で聞いていたネモまで参戦して三人が説明を試みる。
「あくまでその“仲良い”のって、友達としてなわけじゃん?」
「恋人の“仲良い”とはちょっと種類が違うよね〜!」
『うんうん。だからペパーの恋人になるのに、わたしがペパーの親友であることはあんまり関係がないっていうか……』
「はあ!? オレはオマエ以外と結婚する気はねえぞ!?」
『……、はい?』
三人揃ってあの女子が言っていた「友達と恋人は別」論を展開してきて、それでようやく話が噛み合わない理由を理解した。そうか、フツウは親友=恋人じゃねえのか。
なんとなくの知識しかないけど、“恋人”ってめちゃくちゃ仲が良くて親友がレベルアップしたようなもんってイメージだったから、その候補になり得るのもレンだけだと勝手に思っていた。
でも他の奴らにとってはそうじゃなかったんだ。レンも含めて。だからオレと話が噛み合わないんだ。
理由には納得したけど、だとしたら別の重大な問題が発生するわけで。
思わず椅子から立ち上がって、まだちらほら人が残っているのも気にせずに声を張り上げた。
「結婚のことなんてまだ考えられねえけど、要は一生隣にいるヤツのことだろ!? そんなのオマエしかいねえだろうが!
まさかオマエ、オレ以外にそういうヤツが……!!」
『ちょっと待って、一旦落ち着こう』
「落ち着いてられるか!オマエまたスグリみたいに、オレの知らない間に……!」
『いない!そんな人はいないから、もうちょっと声抑えようか!?』
「…おう。いないなら、いい」
掴みかかる勢いだったオレをレンが宥める。
…なんだ、恋人候補はオレ以外にはいないのか。良かった。突如降って湧いた「恋人」枠にオレ以外がいたらどうしようかと思った。
レンはすぐオレの知らない友達を連れてくるから、ほんと油断ならないんだよな。
じゃあ一件落着だな、と支度を終えた三人と一緒に教室を出る。
「どの辺が一件落着なん?問題しかなくね?」
「え?これまで通り、オレとレンは一番の親友ってことで良いんだろ?」
「それ!そもそもペパーがダチダチうるさいから、こんなことになったと思うんだけど!」
「あー…。告白断るとき、“友達でいましょう”って言うもんね。友達以上にはなれません、って意味で」
「えっ……」
『あはは、それはあるかも…。友達って言い切ってたし…』
「ええっ!? マジかよ…。オレがみんなに勘違いさせてたってことか?」
「そういうこと。全部ペパーが悪い」
「ええー……」
グサグサ刺してくるボタンに項垂れる。コイツ、レンのことになると全力で味方するな。いろいろ教えてくれるのは助かるけど。
隣にいたレンに「もう伝えたから大丈夫だよな?」と再確認すると、レンは困ったような顔で「大丈夫だよ」と笑った。
「ああー…。レンの気苦労が絶えん……」
「レン、ファイト!!」
『あはは…。うん、ありがとう…』
「?」
後ろから声援が飛んでくる。何の応援なのか分からなかったが、レンには分かったらしい。
まあオレ宛じゃないからいいか、とスルーしてレンの腕を取る。もっとオレ達の仲をアピールしてかないとな。
オレはいつもと変わらないつもりだったけど、
オレに腕を引かれて歩くレンの顔は、心なしか少し赤いように見えた。
恋愛初心者による一生に一度の恋愛
END.
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自分が主人公の一番の親友だと信じ切ってるペパー、まじ好きなんですよね
主人公が本を借りた理由を「オマエとオレの思い出の本だもんな」って表現するのとか、きもくて大好きですw