2
──
「さて、どの店がいいかな」
僕は女の子の服に詳しくないから、お店は沙月が選んで。そう言ったら沙月が「貴方にも明るくない分野があるのね」と笑った。僕をなんだと思ってるんだ。
私もそんなに詳しくないから適当に入りましょう、と沙月が先を歩く。その手を取れる資格があったら、繋いで歩いてみたかった。
『あんまり高過ぎるのも微妙だし、かと言って貴方と並ぶのにチープ過ぎるのも…』
「僕はそんなに服に金かけてないぞ?」
『貴方は安物でもチープに見えないわ』
「お前もそうだろ…」
“新作”という札のついた服を広げながら沙月が呟く。こんなに綺麗なくせに何を言っているのか。
少なくともこいつは本人のスペックが高いから、たとえ安物の服を着たってそれなりに見えるだろう。でもまあ、僕のために良いものを選んでくれようとしてるなら嬉しいけど。
「お前は僕が選んだ奴なんだから、変に気にしなくて良いんだよ」
沙月に合いそうな小花柄のワンピースを手に取って彼女にかざす。少し丈が短い気がするけど、こいつは脚が長いから活かすべきだろう。
僕の言葉に珍しくきょとんとした沙月は、数秒後にふっと微笑んだ。
『…そうね。貴方が言うなら間違いないわ』
試着してこようかしら、と僕の選んだ服を持って沙月は店の奥に消えた。
back