Short Story





獣障子

なんとなく、こんな雰囲気になることは予想がついていた。私の両手を固定させる目蔵君の瞳にはもう我慢の限界だ、と書かれていた。

そもそも一人暮らしをしている目蔵君の家に「泊まりに来ないか」と言われて来た時点でもうOKサインをだしているようなものだとは自分でもわかっている。付き合って半年。デートもした。手もつないだ。キスもした。家で二人きりでお泊り。私だって分かっているよ。でも、

「すみません、今日女の子の日なんです」

布団に私を縫い付ける目蔵君にそう告げればピクリと彼の顔が強張った。嘘だけど、紳士的な彼は大体何かしらの理由を言えば解放してくれる。私もしたくないわけじゃない、でも初めてだから怖いし、なにより幻滅されたくなかった。

「今日は寝るだけにしよ?」と追い打ちをかける。正確に言うなら今日”も”なのだが。それでも何故か今日は彼は上から退かなかった。「目蔵君?」と声をかければ「本当に、」と小さな声で言った。

「ん?」
「本当に、生理なのか?」
「え、あ、うん」
「それ、二週間前にも聞いたぞ」
「…そうだっけ?」

あー、そういえば前回もこの理由使った気がするようなしないような。あはは、と乾いた笑みを浮かべて目蔵君を見上げれば「いい加減あきらめたらどうだ」と言った。

「そんなに嫌か」
「嫌じゃない!けど、…その、」
「なんだ」
「恥ずかしいじゃん?」
「…明りは落とす」
「それだけじゃなくて、あー、」
初めてなんです、って言ってしまおうか。いやでも、なんて考えているうちに触手のうちの一つが私の服に入ってきた。
「ま、待って!」
「冗談、もう散々待ってやっただろう」

ギラリと獣の目をした瞳はもう私には抑えられなかった。せめて明りはちゃんと落としてよね…。


欲求不満な彼は飢えた獣の眼をしている
title レイラ