レ・ミゼラブル - 2
ぐちゃりと言う音とともに肉の山に一つパーツが増える。奉天中町の実権を握りに行っただけはあって人数が多い。死体を足蹴に山を登る。頂点から見た景色はこの町の中でも割と汚い方で、それでも綺麗だった。手を見れば白い手袋が真っ赤に染まっている。かろうじて手のひらの部分がちょっと白いけど、新品買わなきゃかな。服も血を浴びてお腹がいっぱいらしくて、なんだか旅に出たそうな雰囲気がある。正直髪の毛も洗いたいし、肌も汚れちゃったから洗いたい。お風呂入りたいな。ポケットに入れたままの飴ちゃんを口の中に放り投げ、ガリガリと嚙み砕く。いちごみるくと血の味が混ざって正直最悪だけど、まぁ悪くはないなと思った。
「あ、ジョンく〜ん。もういいよ〜〜」
声をかけれてしばらくすれば二人が顔をのぞかせる。顔色がだいぶマシになった小華和さんが周囲を見渡して「うわ」と嫌そうに声を上げた。ひょん、と飛び降りれば山がぐらりと揺れる。揺れるたびに残り香が強く漂ってきて、ここに確かに命があったのだと、私に吼えてくるようにも見える。
小華和さんが服についた砂や石を払いながら、しっかりと地面に足をつけて歩いている。うん、大丈夫。生きてる。行けるね。
「途中で意識を亡くしたからあまり覚えていないのだけれど、二人で何とかしてくれたのね」
「そうそう!ジョン君がね、気絶した小華和さんに駆け寄って抱き留めてたんだよ。私が抱えてたら小華和さん多分もっと傷口増えてたと思う」
「あら、ありがとう」
「まぁこの状態を生み出したのはセレネだけどな……」
この状態……。写真とかとっとこっかな。記念。二人を呼んで死体の前でスマホを構えた。「ハイチーズ!」って言って写真を撮るけど絶望的なほどにブレブレで肉塊のモザイク写真みたいになっちゃった。面白くてみんなで大笑いしながら写真を撮って回った。一番上手立ったのはジョン君だったのでこのリアルホラーみたいな写真をアレックスさんに差し上げるとしよう。
(了)