2.知るな聞くな耳を塞げ
僕は彼女とまた会う約束をした。けれどその日はどれだけ待っても来なかった。苦しくて哀しくて、会いたくて何回も彼女のことを忘れようとした。忘れようとして…忘れられなかった。初めての人肌の暖かさ、弾む会話、優しい言葉、どれも忘れられるわけがない。約束を違えた彼女を憎み、待ち望み、何年も経ったある日、僕が聞いたのは信じられない事実だった。
その日は気分が良かった。だから近くの従者に名前のことを話してしまった。優しい国の子。誰よりも。けれどそれを聞いて彼は神妙な顔をし、眉に皺を寄せ、言いにくそうに口を開いた。
「おことばですが……名前、という国でお間違えないでしょうか…?」
「?そうだよ。僕ん家からそこまで遠くないところの…」
彼は口を開いて閉じてを繰り返し、それから決心したように掠れた声で言った。
「名前は…亡国になったと…聞いていますが」
信じられなかった。あの優しい子がいなくなった?
「うそ…」
それから僕は調べに調べた。けれど情報は端切れずつしか入ってこない。プロイセンくん一帯の国をまとめてドイツという国が出来たこと。その中に名前がいるのか、それより前に名前は消えてしまったのか。忙しない毎日で、昔のように気軽にプロイセンくんに会いにもいけない。僕は悩み考えた末、そんなことは″なかった″のだと勝手に結論付けた。きっと悪い夢だ。
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徒野
その日は気分が良かった。だから近くの従者に名前のことを話してしまった。優しい国の子。誰よりも。けれどそれを聞いて彼は神妙な顔をし、眉に皺を寄せ、言いにくそうに口を開いた。
「おことばですが……名前、という国でお間違えないでしょうか…?」
「?そうだよ。僕ん家からそこまで遠くないところの…」
彼は口を開いて閉じてを繰り返し、それから決心したように掠れた声で言った。
「名前は…亡国になったと…聞いていますが」
信じられなかった。あの優しい子がいなくなった?
「うそ…」
それから僕は調べに調べた。けれど情報は端切れずつしか入ってこない。プロイセンくん一帯の国をまとめてドイツという国が出来たこと。その中に名前がいるのか、それより前に名前は消えてしまったのか。忙しない毎日で、昔のように気軽にプロイセンくんに会いにもいけない。僕は悩み考えた末、そんなことは″なかった″のだと勝手に結論付けた。きっと悪い夢だ。
徒野