5.愛しい君よ、
「なんできたんだ!!」
真っ先にドイツが立ち上がり怒鳴り声をあげた。ドイツに怒鳴られたことなんて今までなくてショックに胸がじくりと傷んだ。初めてのことにびっくりしてじわじわ涙が出てくるが、そんな弱気な心は無理矢理制して、周りを見渡す。沢山の人がそこにはいて、ぼんやり見覚えのある顔も何人かいた。これがなんの集まりを示すのか、知らないのに分かっている気がした。冷ややかな目線が向けられ、言外に糾弾されていることがわかる。このような場で私に何ができたと言うのだろう。それでも一言言いたかった。このままお別れになるんじゃないかと変な胸騒ぎがしていたからだ。
「ドイツ…っ!」
「すまない、早く連れ出してくれ」
「ごめんなさいっ!ドイツは辛い思いしてたのに、私は…!」
「早く出ていってくれっ!!」
見慣れない軍服を着た人に羽交い締めにされ、口を押さえられる。力の差は歴然でどう抵抗したって私には何も意味のないことだった。ずるずると引きずられるまま、部屋から遠ざかり、ついにドイツは見えなくなった。重いドアが閉じられそのままその場から離されていく。
「名前…っ!」
「ぷろいせ、」
「何してんだ!!」
プロイセンは私を捕まえていた人に何か伝え
、深く謝罪した。私がしたことはそんなにもいけないことだったのだと今更胸がひどく締め付けられた。プロイセンにまで厳しく声を上げられ、さっき込み上げた涙がまだ溢れそうになった。
「なんできた」
プロイセンはいつもみたいにふざけていなかった。真剣にこちらの目を見て問うた。
「だって、だって何にも教えてくれなかった…!!」
絞り出した声は怒鳴り返したような乱雑なものだった。押さえていた涙は流したくなんかないのに勝手にぼたぼたとたれ、下のカーペットを濡らした。
「何にもいってくれなかった…私だけご飯も食べて綺麗な服着て…なんでいってくれなかったの…!こんなことになってるなんて、!言って欲しかった!私だって戦えた!」
足が震えて視界が揺れた。崩れないように手に力を入れてぎゅうと握る。プロイセンは何か言いたげな顔をしたけれど結局何にも言わなかった。その優しさが苦しくて、痛くて、なんでなの…と私は彼の胸の中で泣きじゃくるしかなかった。そうして私が泣き疲れて出る涙も無くなった時、もう日は傾きかけていた。プロイセンは近くの事務員に声をかけ、電話を借りるとどこかへ何か伝えた。それから彼は私を抱き抱えるとどこかへ向かい、しばらくして来た車に乗せられた。
「プロイセンは…?」
「俺はまだやることがある」
「じゃあ私もここに…!」
「ダメだ」
ぴしゃりと言われて仕舞えばどう言ったってこの事実が覆ることはないことを長年の付きあいでわかっていた。言いたいことはたくさんあった。ちゃんと帰ってくる?ドイツは無事?プロイセンは何を考えてたの、それはどれ一つとして言葉にできなかった。プロイセンはそれを知ってか知らずかいつものように頭をひと撫でするといつものように笑った。そして似つかわしくなく
「愛してる」
だなんて言葉を吐いてドアを閉めた。プロイセンは運転手に頼む、と言うようなことを言うと車はすぐに発進してしまいプロイセンの表情ははきちんと見えなかった。止めてくださいと言ったけれどご命令ですので…と断られてしまえば私には迷惑をかける権利など何一つなく、やるせなさを感じながら静かになどの外に目をやった。綺麗だったはずの街並みはひどく散壊しており心が痛ましく私は目を閉じたくなった。けれどそれは私が今まで目を逸らしてきたことに変わりがなく、静かな車内で1人とめどなく涙を流した。
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徒野
真っ先にドイツが立ち上がり怒鳴り声をあげた。ドイツに怒鳴られたことなんて今までなくてショックに胸がじくりと傷んだ。初めてのことにびっくりしてじわじわ涙が出てくるが、そんな弱気な心は無理矢理制して、周りを見渡す。沢山の人がそこにはいて、ぼんやり見覚えのある顔も何人かいた。これがなんの集まりを示すのか、知らないのに分かっている気がした。冷ややかな目線が向けられ、言外に糾弾されていることがわかる。このような場で私に何ができたと言うのだろう。それでも一言言いたかった。このままお別れになるんじゃないかと変な胸騒ぎがしていたからだ。
「ドイツ…っ!」
「すまない、早く連れ出してくれ」
「ごめんなさいっ!ドイツは辛い思いしてたのに、私は…!」
「早く出ていってくれっ!!」
見慣れない軍服を着た人に羽交い締めにされ、口を押さえられる。力の差は歴然でどう抵抗したって私には何も意味のないことだった。ずるずると引きずられるまま、部屋から遠ざかり、ついにドイツは見えなくなった。重いドアが閉じられそのままその場から離されていく。
「名前…っ!」
「ぷろいせ、」
「何してんだ!!」
プロイセンは私を捕まえていた人に何か伝え
、深く謝罪した。私がしたことはそんなにもいけないことだったのだと今更胸がひどく締め付けられた。プロイセンにまで厳しく声を上げられ、さっき込み上げた涙がまだ溢れそうになった。
「なんできた」
プロイセンはいつもみたいにふざけていなかった。真剣にこちらの目を見て問うた。
「だって、だって何にも教えてくれなかった…!!」
絞り出した声は怒鳴り返したような乱雑なものだった。押さえていた涙は流したくなんかないのに勝手にぼたぼたとたれ、下のカーペットを濡らした。
「何にもいってくれなかった…私だけご飯も食べて綺麗な服着て…なんでいってくれなかったの…!こんなことになってるなんて、!言って欲しかった!私だって戦えた!」
足が震えて視界が揺れた。崩れないように手に力を入れてぎゅうと握る。プロイセンは何か言いたげな顔をしたけれど結局何にも言わなかった。その優しさが苦しくて、痛くて、なんでなの…と私は彼の胸の中で泣きじゃくるしかなかった。そうして私が泣き疲れて出る涙も無くなった時、もう日は傾きかけていた。プロイセンは近くの事務員に声をかけ、電話を借りるとどこかへ何か伝えた。それから彼は私を抱き抱えるとどこかへ向かい、しばらくして来た車に乗せられた。
「プロイセンは…?」
「俺はまだやることがある」
「じゃあ私もここに…!」
「ダメだ」
ぴしゃりと言われて仕舞えばどう言ったってこの事実が覆ることはないことを長年の付きあいでわかっていた。言いたいことはたくさんあった。ちゃんと帰ってくる?ドイツは無事?プロイセンは何を考えてたの、それはどれ一つとして言葉にできなかった。プロイセンはそれを知ってか知らずかいつものように頭をひと撫でするといつものように笑った。そして似つかわしくなく
「愛してる」
だなんて言葉を吐いてドアを閉めた。プロイセンは運転手に頼む、と言うようなことを言うと車はすぐに発進してしまいプロイセンの表情ははきちんと見えなかった。止めてくださいと言ったけれどご命令ですので…と断られてしまえば私には迷惑をかける権利など何一つなく、やるせなさを感じながら静かになどの外に目をやった。綺麗だったはずの街並みはひどく散壊しており心が痛ましく私は目を閉じたくなった。けれどそれは私が今まで目を逸らしてきたことに変わりがなく、静かな車内で1人とめどなく涙を流した。
徒野