2.
家に帰るとリヒテンシュタインはいつも通りにこやかに我輩を出迎えた。
「おかえりなさいませ…!あら、」
「おじゃま…します…?」
「名前さん!」
リヒテンシュタインは驚いた顔をしてからふわりと笑った。そうして我輩と名前にかけよってから不思議そうにこちらを伺う。
「名前さんは…?」
「我輩もわからない。オーストリアに押し付けられたのである。1週間家にいると」
まぁ…とリヒテンシュタインは吐息を漏らし明らかに不機嫌な我輩と縮こまっているえこを見て狼狽えた。我輩は部屋や家の配置をえこに手早く伝えると言ってとりあえずリヒテンシュタインから離れることにする。ごめんね、と部屋から出る際に名前はリヒテンシュタインに謝っていた。謝るくらいならこなければいいのである。そう憤りながら案内し、空き部屋に手をかけた。
「……」
「ど、どうかした?」
つい開けたドアノブをそのまま引き空間を閉ざした。物置として使っていた部屋はほとんど開けておらず、リヒテンシュタインにもこの部屋は掃除しなくていいと伝えていた。掃除をしてもらって過去の恥ずかしいものが出てきては困るし、そうまでして使う必要もなかったからだ。はぁ…と深くため息をついた我輩に名前がまた申し訳なさそうに体をすくめた。
「…貴様、さっきから申し訳なさそうにするのはやめるのである。気に障る!そもそもそう思うならなぜ我輩の家に来た!」
「…ご、ごめ」
「……ちっ」
謝るだけでなんの説明も引き出せそうにないとわかって我輩は口を開きかけてやめた。ここで騒いでもリヒテンシュタインが気付くかもしれない。たまらない怒りをなんとか沈めて我輩はこいつをどこに泊めようか思考する。今から掃除しても間に合わないだろう。
「…今日は我輩がリビングで寝るから貴様は我輩のベッドを使えばいい。不服だろうがな」
「え!?そんな、私がリビングで」
「うるさい!客人をリビングに泊めるほど落ちぶれてはいない!」
名前はまた申し訳なさそうな顔をして口を開きかけてから閉じた。そして、あ、と思いついたように
「昔みたいに一緒に…寝たらいいんじゃない…!?私幅取らないよ!」
と素っ頓狂なことを言った。正気か?と勢いのまま反論しようと思ったが、男と女で、なんてまるでこいつを女扱いしているようで不服な気持ちもあり我輩は何も言えなかった。
「…ええい!とりあえず今日は我輩がリビングで寝る!異論は受け付けない!よいか!?」
「う…わかった…」
渋々受け入れた名前に我輩ははぁ、とため息をついた。昔のように、なんてよく言えたものだ。昔から何もかも変わってしまったというのに。そのあとはリヒテンシュタインに頼んでいた洋服の用意ができたことを知らされリビングに戻った。珍しく3人で食事を囲みリヒテンシュタインと名前は談笑を交わした。長らくこいつとは喋っていないのにこの1週間どう過ごそうかと頭を悩ませた。
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徒野
「おかえりなさいませ…!あら、」
「おじゃま…します…?」
「名前さん!」
リヒテンシュタインは驚いた顔をしてからふわりと笑った。そうして我輩と名前にかけよってから不思議そうにこちらを伺う。
「名前さんは…?」
「我輩もわからない。オーストリアに押し付けられたのである。1週間家にいると」
まぁ…とリヒテンシュタインは吐息を漏らし明らかに不機嫌な我輩と縮こまっているえこを見て狼狽えた。我輩は部屋や家の配置をえこに手早く伝えると言ってとりあえずリヒテンシュタインから離れることにする。ごめんね、と部屋から出る際に名前はリヒテンシュタインに謝っていた。謝るくらいならこなければいいのである。そう憤りながら案内し、空き部屋に手をかけた。
「……」
「ど、どうかした?」
つい開けたドアノブをそのまま引き空間を閉ざした。物置として使っていた部屋はほとんど開けておらず、リヒテンシュタインにもこの部屋は掃除しなくていいと伝えていた。掃除をしてもらって過去の恥ずかしいものが出てきては困るし、そうまでして使う必要もなかったからだ。はぁ…と深くため息をついた我輩に名前がまた申し訳なさそうに体をすくめた。
「…貴様、さっきから申し訳なさそうにするのはやめるのである。気に障る!そもそもそう思うならなぜ我輩の家に来た!」
「…ご、ごめ」
「……ちっ」
謝るだけでなんの説明も引き出せそうにないとわかって我輩は口を開きかけてやめた。ここで騒いでもリヒテンシュタインが気付くかもしれない。たまらない怒りをなんとか沈めて我輩はこいつをどこに泊めようか思考する。今から掃除しても間に合わないだろう。
「…今日は我輩がリビングで寝るから貴様は我輩のベッドを使えばいい。不服だろうがな」
「え!?そんな、私がリビングで」
「うるさい!客人をリビングに泊めるほど落ちぶれてはいない!」
名前はまた申し訳なさそうな顔をして口を開きかけてから閉じた。そして、あ、と思いついたように
「昔みたいに一緒に…寝たらいいんじゃない…!?私幅取らないよ!」
と素っ頓狂なことを言った。正気か?と勢いのまま反論しようと思ったが、男と女で、なんてまるでこいつを女扱いしているようで不服な気持ちもあり我輩は何も言えなかった。
「…ええい!とりあえず今日は我輩がリビングで寝る!異論は受け付けない!よいか!?」
「う…わかった…」
渋々受け入れた名前に我輩ははぁ、とため息をついた。昔のように、なんてよく言えたものだ。昔から何もかも変わってしまったというのに。そのあとはリヒテンシュタインに頼んでいた洋服の用意ができたことを知らされリビングに戻った。珍しく3人で食事を囲みリヒテンシュタインと名前は談笑を交わした。長らくこいつとは喋っていないのにこの1週間どう過ごそうかと頭を悩ませた。
徒野