モブ要素有。


---
22×19



公安に入って一年経った。この一年間色々あったが、俺の中で変わったのは、佑月を好きだと自覚を持ったこと。
一緒に飯を食べ、時々泊まったり、仕事の相談事もした。側から見たら佑月はいいお兄ちゃんだと思われている。
俺には、兄貴という存在を超えて佑月が好きという自覚があった。マキマさんに向ける好意とはまた違うような。
男同士、所詮は叶わない恋だろうと理解はしていたが、好きになってしまったのだから仕方がない。


「佑月、仕事終わったら牛丼食べ行かないか」
「行く」
「じゃあ、定時終わりに受付で」
「おー今日も適当に頑張ろうなー」



お互い公安の2課所属。職場で顔を合わせることは多かった。佑月のバディは最近入った新人に変わったようで、俺を見てから一礼して佑月を追いかけて行くようにその場を離れた。


「早川先輩が挨拶以外で喋ってる姿初めて見ました」
「はは、喋るよそりゃあ」
「早川先輩って、佑月さんと同期なんですか」
「ん、後輩だよ。でもアキは俺の可愛い弟だからいいの」
「弟?」
「そう弟」


また適当なこと言って、全部聞こえてんぞ。
早川アキは佑月の腹違いの兄弟らしい、と2課内で、一時期噂されたこともあった。
(弟止まりじゃ、こっちは困るんだ)
俺も二人の背中を見送った後、姫野先輩と合流しパトロールへ向かった。



--



「親睦会?」
「公安と民間で集まるんだと。もっと交流を深めましょうって」
「へぇ」


無事定時に仕事を終わらせた俺と佑月は約束通りに牛丼を食べにきていた。一年前と変わらず、並盛りを食べる佑月に、ちょっと大人になったんだと思わせるために俺は大盛りを頼むようになった。


「げ、全員強制参加なのに、未成年は出席不可だって」
「へぇ」
「アキがいない飲み会とか興味ねぇ」


佑月は相変わらずこんな感じで、俺に気のあるような言葉をサラッと言ってくるがその自覚はない。
「たまには飲んでこいよ」最近参加する飲み会は俺がいるせいか佑月は酒を飲まないし、宅飲みする時もビールを2本ほどしか飲まない。俺のためだと思うと嬉しかったが、少し申し訳ない気持ちもあった。


「べろべろに酔ってこいってか?」
「…酒強いんだろ」
「強いけど、そりゃいっぱい飲めば酔うよ俺だって」
「迎え行ってやる」
「免許とったんだっけ、アキ…じゃあお願いしようかな。今度の金曜日だって。
車は本社に置いてくから、俺の使っていいよ」
「わかった」
「なんならそのまま泊まってけよ。次の日は1課以外は休みにするってマキマさん言ってたし」
「そうする」
「へへ、ビールいっぱい飲もう」




--



親睦会は強制参加なこともあって、参加した人数はかなりの数で、店を一つ貸切したらしい。
公安の制服に気づいた店の人が案内してくれると随分と騒がしい音に中に入るのに躊躇した。

中に入って、佑月を探すが見当たらなかった。顔の知れた人達を探すが、姫野先輩はもう酔い潰れているようで寝ていたし他の人達も同じような感じだった。


「アキィ、今日は未成年は参加禁止だろ」
「野茂さん…参加しにきたわけじゃないです。あの、佑月先輩は…」
「佑月?あぁ、アイツなら…いや、今のアイツに会うのは危険だぞ。姫野よりやべぇ」
「は?」
「とにかく会わない方がいい。だいぶ酔ってたからな」


話を聞くと、何が目的だったのかは分からないが飲み比べ対決が始まって姫野先輩と佑月さんが大暴れしたらしい。「酔ってる佑月には近づくなよ」と野茂さんには忠告されたが、酔っているなら尚更連れて帰るしかない。
再度部屋を見渡しても、この部屋には佑月がいないと判断して部屋を出る。煙草か…それとも体調が悪くなってトイレに行ったのか、とりあえず回ってみて探すしかないと一歩進んだところで、知らない女性に腕を掴まれた。

「あの、公安の早川さんですよね…私、民間の…」と聞いてもいない自己紹介を始めた。

面倒くさい、それに佑月を探さなきゃいけないのに。
掴まれた手を振り解こうとするも、相手はかなり酔っているようで簡単には振り解けない。民間だと言っていたし相手は女の人だ。やめてほしいと伝え、何度も振り解こうと試しても駄目。そのうち「す、好きなんです!」と言われて泣き始めたので流石に拒絶反応が出た。あぁもうと、掴まれた腕を握り返そうと思った時、嗅ぎ慣れた煙草のにおいがして背中からぎゅと抱き締められる。
「俺のアキだからごめんね」驚いた顔した女はすぐさまその場所から立ち去った。
抱き締められていた腕の力が弱くなり、くるっと佑月の方に体を動かされる。佑月の表情は照明の影になって見えない。


「佑月…っぅ」助かったと、伝えるところだったのにその言葉は佑月の唇によって塞がれた。


「佑月…?」
「アキ、ちゅ」


近づいてきた佑月の顔を今度は止めることはできたが、止められなかった。
(佑月も酔うとキス魔になればいい)そう思ってたのは俺で本当にそうだっただけの話だ。


一枚扉の後ろでは、親睦会が行われていて今この廊下に誰がどこからきてもおかしくない。
「ん…ぅ」それなのに佑月とのキスをやめたくなかった。俺の唇を貪っている佑月の唇が気持ち良すぎて、顔も良くてキスも上手くてそれに強いなんて、好きになるしかない。ちゅ、ちゅっ、と何度も重なる唇と、佑月からするアルコールのにおいもきつくて、だんだん俺の頭もくらくらした。そんな頭でさっきの野茂さんの忠告を思い出した。
あぁ、本当にこんなにエロいキスをされたら戻れなくなっちまって、やばすぎる。すき、すき、すきだ、佑月、と俺も負けじと唇を重ねる。
「アキ、口開けろ」佑月に命令されて、びくりと身体が跳ねる。少し開けた口から佑月の舌が遠慮なく入り込んできてくちゅくちゅと、水音が混じった長いキスへと変わる。立っているのもキツくなって力が抜けると、壁に押し付けられて足の間に佑月の膝が入って無理矢理立たせられる。


「ん、っ佑月…んん」
「…アキ、」


誰が通るかもわからない、廊下で佑月と夢中になってキスをして。気持ちいいのと嬉しいのもあって、俺の股下にある佑月の膝が少し動いて俺自身に当たると「ぁっ、」と短く喘いでしまった。


「アキともっとちゅーしたい」


あの日綺麗だと見惚れた、澄んだ水縹色の瞳。
数センチ先にあるその瞳の中に俺が映っているのが鮮明に見えてひどく興奮した。


それから佑月の荷物も持たずに、俺たちは車へ戻った。車に戻ってからも何度かキスされ、10分もかからない程度の道のりだったが、佑月ともっとキスがしたくてその道のりがだいぶ長く感じた。

持っていた合鍵で、部屋に入る。
先に入ってた佑月に「水飲むか」と声をかけるものの、ドアが閉じる音と同時に抱き締められてまたキスが始まった。それから靴も脱がずに玄関先で馬鹿みたいにキスして、部屋に入るなりソファへ座った佑月に「おいで」と手招きされ、佑月に跨ってまたキスをした。
跨って、佑月の首に手を回していたせいもあって勃ってきたソレが佑月の腹に当たっていたらしい。男にキスされて喜んでちんこが勃ってきたなんて気持ち悪がられるかもしれないと、腰を引けば頭を撫でていた佑月の手が俺の腰あたりに回ってきて抱き締められる。


「何で嫌がるの」
「…ほっとけば、落ち着く」
「俺が抜いていい?」


腰を撫でる手に、期待して返事の変わりにキスをした。俺がジャケットを脱ぐと、佑月がワイシャツのボタンを外す。「アキ」と赤い舌が俺を誘う。誘われるままその口を塞いだ。

ベルトは外されて、ズボンは脱がずに履いたまま下着を脱がされると、さっきよりだいぶ勃って先っぽからぬるぬるした液もでていた。


「アキのえっちだ。もうこんなぬるぬるしてる」
「んっ」


硬くて熱くなったソレを佑月の手のひらで優しく撫でられるとビクビクと脈打った。


「佑月、佑月、っ、はぁっはぁ、…」
「アキ、気持ちいい、?」
「きも、ちぃ…あぁ、佑月…、、っ、」 


佑月に撫でられて、扱かれて、気持ち良すぎて喘いでいたら、佑月にキスをされた。


「おれ、アキがイクところみたい」


佑月に愛でるように見つめられて、俺は佑月の手の中でイった。


 そのまま俺を抱き上げてベットへ移動。中途半端に着てた服を脱がされて、佑月も脱ぎはじめて下着だけのまま布団を被される。

「アキ、おやすみ」

風呂入りたかったな、と思ったが抱き締められてしまったので身動きが取れない。何度か泊まりに来たことはあるが、俺はソファで寝ていたから一緒に寝るのは初めてだ。


「佑月、好きだ」


起きた時、佑月が何も覚えてなきゃいいのに。そしたらまた酒飲ませて、同じ事が繰り返せる。
(あと三ヶ月ほど先の誕生日が待ち遠しいな)
俺も瞼を閉じた。


PREV | TOP | NEXT
HOME