これがうちの鈴木家

突然赤ん坊になっていた私は兎にも角にも周りの状況をよく見て観察しなくては。
あ、ミルクは意外と美味しかったです。ごちそうさまでした。
背中をトントンと叩かれゲフゥ、と胃からゲップが自然と繰り出され母(仮)は満足気だ。

先程までキラキラした眼で此方を見てきた女の子は2、3歳ぐらい?だろうか。今じゃもう飽きたのか彼女はコチラに背を向けて何かをしている。確度的に見えない…悪戯してないといいが。
お部屋の様子は何度見ても豪華。
ホテルの一室かと疑う程の絢爛さに度肝を抜いていると母親らしき美人さんとバトンタッチするように1人の女性が近付いてきた。


「さぁ夢子お嬢様、オムツを変えましょう」

「…うあああぁぁぁん!!!!!」


いやぁーー!!オムツ替えを自我がある状態でするのいやぁーー!!
先程母?が浅霧と呼んだこの女性は乳母的な人なのだろうか
私が泣くのなんてなんのそのニコニコ笑顔で私の身ぐるみを剥いでいき手際良くお尻拭きでお股を拭いてくる
いやまじで勘弁してくれ…どうしたらいいのこれ…いやどうしようもないのこれ…?
半ば放心状態になりながら耐えているとあっという間に真新しいオムツが私のお尻を包んでいた
仕事が早いね浅霧さん…と最早他人事として見てると大人しくなった私を見て「お利口さんですねぇ」とまたニコニコしてくる浅霧さんに少しだけ癒される


「さ、お寝んねの時間ですよ。園子お嬢様もお昼寝の時間ですから御自分のお部屋にお戻りくださいね」

「はぁーい」


姉?となるこの女の子は園子と言うらしい。
おでこを出してクリクリしたお目々になんだか既視感があった
どこかで見たことがある…?
何だろ?この子どこで見たんだろ?と頭を悩ませると私を抱っこしてユラユラと揺れ始めた浅霧さんの手腕にすっかり眠気がMAXとなって襲って来る
何この人寝かし付けるのも超うまい…
だめだ…逆らえな…い…スヤァ。











そんなこんなで2歳にまでなりました
え、いや、赤ん坊の生活語られても困るでしょ。代わり映えないのよ、あ、初めてハイハイした時とつかまり立ちした時と歩いた時は家族全員で大歓声をあげていました。撮影係の人がいてバッチリ撮られてます。
それぐらいじゃない?
どうやら私の姉はさらにもう一人いたらしく、綾子お姉ちゃんと言うらしい。
9歳差で平日は学校に行っているので専ら 私 で 遊ぶのは2つ歳上の園子お姉ちゃんだった。

美人で凛々しい雰囲気のある母とおおらかで優しい父とニコニコ笑顔で私を呼んでくれる長女と私を子分かなにかと勘違いしてるんじゃないかという次女。

そして前世の記憶のせいで中途半端にしか子供らしい振る舞いが出来ず齢2歳にして達観してしまっている三女の私、夢子。


「夢子ー!遊んであげるわぁー!!」

「やらぁ…わたしえほんよんでりゅぅ…」

「なに言ってんのよ!園子おねえちゃんが遊んであげるって言ってんのよ!!こっちにくるのぉ!!」

「いたいぃぃ おねえちゃんひっぱらないでえー」


今日も今日とて次女と三女の声が家の中に響き渡る



これがうちの鈴木家である。


(うーんやっぱり園子お姉ちゃんはどこかで見た記憶があるんだよなぁ…?)



 

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