深く落ちる
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俺には七歳下の幼馴染がいる。
美希と言う名前からは想像できない小生意気そうな男の子で、女の子のような名前だが女性っぽさはなく見た目も中身も男らしい。小柄ではあるが成長期真っ盛りでいずれは俺の背を追い越すだろう。
俺と美希は周りから見れば兄弟の様だと良く言われた。
家が隣なのもありずっと一緒で、お互い一人っ子だったのでよく一緒に遊んでいた。
特に兄弟が欲しいと思った事は無かったが、弟ができたらこんな感じなのかなと思うと美希が愛おしかったし、美希も俺のことをお兄ちゃんと呼んで慕ってくれていた。
俺たちの関係が変わったのは美希が十二歳で小学校を卒業した時の事だ。
卒業式の後、俺の部屋に来た美希は顔を真っ赤に染めながら俺に告白した。
「オレ、奏多の事が好きだっ!幼馴染としてじゃなくて、兄としてじゃなくて、本気で奏多が好き!」
突然の事で吃驚したが、俺は美希の真剣な眼差しに、初めて見る弟とは違う男の顔にどきりとした。
今まで抱いていた愛おしさとはまた違う感情が込み上げて、俺は美希を受け容れた。
俺も美希が好き。と返事した。
瞳を潤ませて抱きついて来た美希の体温はきっと一生忘れないだろう。
あの日から俺と美希の関係は幼馴染の兄弟のようなものから、恋人に変化した。
×××
「隣いい?」
どうぞと席を詰めればありがとうと返される。
周りを見渡すが空席は多く友人同士で固まっているグループ以外は皆点々と座っていた。はてと思うも席に拘りがある人のかもと納得する事にした。
同じ学科ではあったが話した事は一度も無かった気がする。名前は…なんだっけ。確かヨウって呼ばれていたか。
爽やかな笑顔の男前で、いつも周りに男女問わず人が集まってるイメージがある。一人でいるのは珍しい。
「あがない、くん?でいいのかな」
視線の先、机に置いた出席カードには「阿賀内 奏多」と書いてある。俺の名前だ。
「合ってるよ」
「良かった。下は?かなたくん?」
「そうた、だよ。あがない そうた」
「あーごめん」
「ふふ、いいよ。よく言われるし」
彼はボールペンを取り出し自分の出席カードに名前を書いた。そこには「切江 耀」と書かれている。意外にも達筆だ。
「切江くん、字綺麗だね」
「そう?初めて言われたかも」
照れた様に笑う顔はどこか懐っこく幼く見えた。
身長も高く大人っぽい雰囲気なのでギャップがある。
こういうところが女子に人気があるのか。
講義が始まるまで他愛のない話をする。
普段話さないタイプだが切江くんが話し上手なのか居心地は悪く無かった。
「阿賀内くんって兄弟いるの?弟とか」
「いないよ。一人っ子」
「へー。じゃあさぁ。彼氏は?」
予想だにしない質問に一瞬時が止まる。
彼氏?彼女の聞き間違いじゃなくて?
彼女はいないよ、と返せばいいのに上手く反応ができなくて切江くんを見る。
その目は笑っていなくてさっきまで抱いていた、幼さとか、親しみやすさは一切感じられなかった。
捕食する様な目付きに冷や汗が滴れる。
「阿賀内くん、雑貨屋近くのアパートに住んでるでしょ?俺もそこ住んでるんだ」
「そう、なんだ…」
すっと目が細められて、捉えられる。
鼓動が煩かった。
「玄関でさぁ、キス、してたよね?相手の子、中学生くらいかなぁ?」
「…っ!!」
「弟かなって思ってたんだけど一人っ子みたいだし。…あれ彼氏?」
見られていた…!?
…最悪だ。
俺は大学生活を機に実家を出た。恋人と言っても美希はまだ中学生なので当然同棲なんてしてなくて、一人暮らしだ。実家から通える距離ではあるが、交通の便など諸々の事情でアパートを借りている。遊びに来た時やデートの時、美希は帰り際に俺の頬にキスをする。勿論人目を気にして周りに人がいないと確認してからだ。万が一見られても兄弟のスキンシップ程度に思われるだろうと軽く捉えていた。
どうしよう、誰かにバラされたら?俺だけじゃなく美希まで。どうすれば。
ぐるぐる考えていると周りが静かになった。
前を見ると講師が来ていて、講義が始まった。
「このあと時間あるよね?二人きりで話そうか」
耳元で低く囁かれる。
俺の頭の中は焦りと動揺でいっぱいで、講義の内容は全く入ってこなかった。
×××
連れられたのは資料室だった。
元々広い部屋ではなさそうだが壁が本棚で覆われていて余計に狭く感じる。あまり使われていないのかよく見れば埃が積もっていた。
「別館にでっかい資料室があるだろ?そこ出来てからこっちは全然使ってないんだって」
人気のない部屋で二人きり。いい予感がしない。
警戒心剥き出して睨んでいると、そんなに怯えないでよと笑われた。
この男、どういうつもりなんだ。
「別にそれネタに脅そうってワケじゃないんだ。写真撮ったとかでもないし」
「…だったら何で」
切江くんの手が伸びてきて俺の頬を撫でる。
振りほどきたかったが反応が恐くてされるがままでいた。親指が唇に触れてなぞられる。リップでも塗り込むみたいに端から端に撫でられる。
そうしていたら顔が近付いてきて、口付けをされた。
「…っ!」
離れようとして後ろに一歩引くがそのまま迫られて背中が棚にぶつかった。逃げようともがくも頬を掴む手とは反対側の腕がが俺を閉じ込めるみたいに棚を押さえつける。
やめてと声を上げようとして舌が入ってくる。
そのまま絡め取られ舐られ喘ぎ声が漏れる。
「ん、ふ…ッ、は…ぁ」
舌を、歯を、口蓋を犯される。
なんとか止めさせようと背中に手を回し後ろ髪を引っ張る。離れ際に唇をべろりと舐められ解放された。
「…は、ぁ、…何、するんだ」
「キス」
そう言って切江はしゃがむと、俺のベルトに手を掛ける。止める間もなくするりと抜けると俺の腕を縛り上げた。
「外して…!」
「やだよ」
ファスナーを降ろされズボンを膝辺りまで下げられる。下着越しに性器を触られ可能な限り抵抗するが、そこをぎゅっと握られ身体が竦む。
動けなくなり切江の様子を伺うと、そこを撫でながら話し始めた。
「最初はさー、ちょっと気になったから聞いてみるかーって感じだったんだけどな。阿賀内くんの反応が予想外っていうか、想像以上でさぁ。すっげーそそる」
「く、ぁ…、ふ、やめ、…っ」
「感度いいね。彼氏に仕込まれたの?」
柔く揉まれ、硬さが増してくる。切江に弄ばれたそこは下着の中で窮屈そうに主張していた。
「あぅ!」
身体を反転させられ棚に押し付けられる。咄嗟に手を付いたが思うように動かせず強く打つけた。背後の切江の方に腰を引き寄せられ、尻を突き出す格好になる。最後の砦と思った下着も剥がされ、半勃ちの性器が飛び出した。
「切江…、やめて…嫌だっ」
直に触られ鳥肌が立つ。
俺の制止も聞き入れてもらえず切江はそれを扱く。
振り解こうともがくがぴったりと密着され思うように抵抗ができない。
呆気なく達してしまい嫌悪感と、美希への罪悪感で胸が締め付けられた。
「…っ、何」
蕾にぬるっとしたものを塗られる。
俺が放った精液だ。
切江が何をしようとしているのかがわかって血の気が引いた。
「やめて…、ほんと、嫌だよ…。ッ切江!」
「あーもう。暴れるなよ。年下彼氏の事、バラすよ?」
「な…脅さないって…!」
「そのつもりだったんだけど。阿賀内くん、俺の言う事聞かないでしょ?」
「…卑怯者っ」
「いーよ。卑怯で。未成年淫行、相手は中学生男子かぁー。バレたら大学いられなくなるね」
あはは、と耳元で吹き込まれる。
指が入ってきて、嫌だ、と首を振る。当然聞いてもらえず容赦無く奥へ奥へと侵食していった。
「意外とすんなり入ったね。阿賀内くん、実はビッチ?」
「…あ、やだ、抜いてぇ」
「まー中学生じゃヤりたい盛りか。…もう二本目入った」
「あ、あッ、嫌、ああー!」
痛い。辛い。
陵辱される事もだが心がどんどん壊されていく。
美希、助けて。美希。
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