何か勘付いてる気がする
パーティーは問題無く進行しているようだ。目立たぬよう、端に立ち怪しい人物がいないか確認するのは職業病なのだろう。
「お姉さん、食べないの?」
「もう食べてきちゃったの。彼、教えてくれなかったから」
「そうなんだー。てっきり、食べられないんだと思ってたんだけど、違ったんだね!」
「どうしてそう思ったの?」
「飲み物は必ずカウンターに貰いに行くから、目の前で作られた物しか口にしてはいけないのかな?って…」
「大正解!あんな事があったから、ちょっとだけ怖くて」
本当に小学生なのかと疑いたくなるような程の観察力。まるで小さな探偵のようだ。名推理だねと頭を撫でたと同時に会場が暗くなる。何かの演出だろうと思っていると、悲鳴が聞こえ、直ぐに会場が明るくなると、誰かが刺殺されていた。
「コナンくん、危ないから側に…って、いない!?」
事件が起きてから、誰も会場の外へは出ていない。犯人は会場の中にいる。幾ら観察力に優れていても、子供は子供だ。離れないように言おうと思えば、もう既に姿は無く、刺殺体の側にいて、探偵の顔をしている。
「蘭ちゃん、園子ちゃん!」
「藍さんっ!」
「危ないから、私から離れないでね」
「でも、コナンくんが!」
「大丈夫。透や毛利さんも一緒みたいだから」
混乱する場内を歩きながら、蘭と園子を探し、二人に危害が及ばぬように前に立ち、壁際へ移動する。暫くして、警察が到着しこの場にいる全員が凶器を所持していないか身体検査を受けたが、凶器は出てこなかったのだ。
「その顔、分かったの?」
「まあ」
「凶器は?」
「あの中」
「成る程ね」
近くにいた降谷は既に犯人が分かった顔をしていて、こっそり耳打ちすれば凶器の入ったカクテルグラスに目を向ける。そんなやり取りをしていると、いつの間にか眠りの小五郎ショーが始まった。自殺に追い込まれた恋人の復讐をする為、秘書となり、亡くなった恋人の事を嘲笑う社長が許せず犯行に及んだそうだ。犯人が連行され、私達も解放された。毛利探偵達に挨拶し、駐車場に停めた車まで歩く。
「何か気になる?」
「ああ、ちょっとな」
「江戸川コナンくんのこと?」
「そんなとこ」
「あの子、何か勘付いてる気がする」
「まさか」
「確信は無いけど」
「気を付けるよ」
「そうして下さい」
最近は自分の車よりも乗る事が多い降谷の車に乗り、パーティーの会場であるホテルを後にする。特に話す事も無く、窓の外を眺めていると私の家では無い方面に向かっている事に気付き、降谷に問う。
「お腹空いただろ?」
「空いてるけど…」
「なら問題ない」
「何が?!」
見慣れないマンションの地下駐車場へ入り車が停車し、車を降りる降谷の後に続きセキュリティが万全そうなエントランスを抜け、エレベーターに乗る。まさかとは思うが、此処は"安室"ではなく降谷の家なのだろうか。此処はかなりセキュリティが万全なのだろう、降谷は自分の瞳を認証させている。
「入って」
「…お、邪魔します」
長い付き合いではあるが、家に来たのは初めてだ。降谷らしいシンプルな家具と配置。生活感が殆ど感じられないのは、普段は向こうに帰るからだろう。
「直ぐ用意する」
「用意って、降谷が作るの?!」
「ああ」
「帰って食べるから、休んで!」
「俺がまだ藍と居たいんだよ」
「……じゃあ、お願いします」
お願いしますと伝えると、満足そうな顔。ジャケットを脱ぎ、ネクタイを緩め、降谷は上機嫌でキッチンに立っている。まあ、今日はいいか。視線を降谷から、テレビに移す。バラエティ番組からニュース番組にチャンネルを変え、事故や事件の報道を見ていた。