9
刀の説明をしてくれ、お互いの目の前に差し出された2本の刀
説明によればその人の使う呼吸法によって刀の色が変わるらしい
各々、鞘から刀を抜けば色が変わっていく
彼は黄色の稲妻が走ったような柄が描かれた刀になり、
私は浅葱色のような色に染まった

それを見た刀の造り手である鋼塚さんはそれぞれ今までにない刀だ
だなんて興味津々である。
数十分程刀の説明を受け、疲れてきたと思った頃に「そろそろお暇する」と言われたので安心していればとんでもない言葉を吐き捨てて出て行った

「刀を壊したら殺す。未来永劫恨むからな」と。
その言葉に彼は顔面蒼白にし、倒れてしまうのであった

――――――それから、数週間が経ち、

私の腕は完治した為、鈍った身体を戻す為にも鍛錬に勤しんでいた

「も、もう無理……」だなんて話す彼も涙ぐみながらも頑張っている。そう頑張っているのは……

遡ること数時間前の会話にある

「もうやだ……疲れた。逃げたい……」
私が休んでいる間ずっと鍛錬をしていた彼は今日から鍛錬を始めようと準備をしている私にしがみつき、助けを求めてきた

『今日から私も参加するから一緒に頑張ろう?』

「それは嬉しいけどやりたくないんだよお、見てよ!この傷!俺めっちゃ頑張ったよ?!」

『あともうちょっと頑張ろう?』

「なまえちゃんが結婚してくれるのなら考……!」

『結婚はしません』

「まだ言い終えてないよ!!!!!」

さらに喚き始める彼はとうとう鼻水もたらし始めた
鬼殺隊になったら少しは変わるかなと思った私が馬鹿だった。
彼は今も昔も変わらない。
良い事だが……
どうすればこの場を乗り切れるのだろう……
そして、私は閃き、彼に話した

『今日鍛錬頑張ったら明日一緒に街に出かけるのはどう?』

「え!!!!!それは本当?!2人で?!2人で街に行くの?!」
先程の泣き顔とはうってかわり、目をキラキラさせてこちらを見てきていた
本当だよ。約束と手を差し出せば

「俺、頑張るよ!!!」だなんて顔を真っ赤にして言うもんだから少し胸が高鳴った

そして、先程の話に戻るのである
おじいちゃんも善逸どうしたんだ?と心配する程だ。
理由を言えば間違いなく怒るであろうから言わないでおこう。
日が落ち、晩御飯を終え、湯浴みをした後自室に戻っていれば外から「開けていい?」と善逸の声が聞こえ、
『どうぞ』と言えば同じく湯浴み後で部屋着に着替えていた
すると彼は顔を真っ赤に口をパクパクとさせている
どうしたんだと思い、素直に尋ねればいきなり
「そんな格好してちゃだめだよ!」だなんて怒られた

そんな格好?自分の服装を見るが普通の浴衣である
何が問題なのか分からずもう一度彼を見れば
「首元開きすぎ!!!」だなんて言われた

『……え……?』
まさかの言葉で思わず間抜けな声が出てしまった

「だめだよ!なまえちゃん、そんな格好してちゃ危ないから!」

『って言われても湯浴みの後だから暑いし……』

「それならそうで誰かが来る時は整えないとだめなんだよ!!!分かった?!!」
彼はとうとう顔を真っ赤にしたままプルプルと震え出している

『善逸くん気にしすぎだよ、もし、何かあっても私だって戦えるくらいには……』

そう言いかけた言葉は彼によって阻まれた
私の手首は彼に掴まれており、目に映る彼の顔、彼の綺麗な瞳の中に私が見えた

『ぜ、ぜんい……』

「好きな子のそんな姿他の人に見せたくないの、分かった?」
至近距離でいつもの泣き虫な顔ではなく真剣な顔で伝える彼は私の知っている彼ではなく、思わず胸がドキリと鳴った
それを悟られたくない私は『わ、分かった!ごめんね!』とだけ言い、明日どうしよっか!と話をすり替えた
自分のした事に顔を赤らめた彼は「明日11時に迎えに来るね!!!!」とだけ言えばダッシュで部屋を後にするのであった

な、、何だったの……?
あの時手首を掴まれた熱がまだ残っている
彼のあの真剣な表情が未だに鮮明に焼き付いている

『どうしよう……顔が熱い…………』
火照る顔を抑え、布団にうずくまり、そっと目を閉じた
9/11
prev  next