10
『はぁ……』
深い溜息をつきながらも準備の手は止めない
そう、今日は善逸と2人で街に出かけると約束していたのだ
そこまでは良かったのだが昨日の夜の一件によりどのような顔して会えばいいか分からず悩んでいるのだ
そうもしているうちに約束の時間が迫っていた。
最後に簪を差し、耳飾りをつけようとした所で障子の向こうから声が聞こえた

どうぞと促せばちらりとこ顔の半分だけこちらに覗かせている

「お、おはよう!」

『おはよう。えーっと、じゃあ行こっか……!』
緊張を悟られないよう笑顔でそう言えば「待って」だなんて言われるのでそちらに視線だけ向ければ
「なまえちゃんの今日の姿めちゃくちゃ可愛い」と俯きながら伝えてくれた
そんな言葉に照れずにいられるわけなく胸の高鳴りを必死に抑えながら「ありがとう、善逸くんもかっこいいよ」とだけ伝えれば彼も顔を真っ赤に染め上げるのであった

街に出れば活気に満ち溢れており、賑わっていた

「どうしよう……なまえちゃん食べたいものとかしたいことある?」

『え、いいよ、今日は善逸くんの為に街に来てるから善逸くんのしたいこと一緒にするよ?』
と伝えても
「なまえちゃんのしたいことが俺のしたいことだから」と返される

それなら……

『何か甘いものでも食べに行かない?』
これなら善逸くんもしたいって言っていたことだから。
どうだろう?と彼を見れば笑顔で頷いてくれた
目に入ったお店に入り、メニューを渡された

「今日は俺の奢りだから好きな物沢山食べてね!」

『え!!!いいよ!そんなの!ちゃんと自分の分は自分で払うよ!』

「いいの!俺男だし、ちょっとくらいかっこつけさせて、それに前守ってもらったお礼もしたいからさ、」

そう話す彼に私はそれ以上何も言えず、素直に感謝を述べた
それからも他愛のない話をし、食べ終えた私達は店を出た
すると目に入ったきらりと光る物

『善逸くん、ここのお店ちょっと見てもいい?』

「もちろんだよ!」

ありがとう。とだけ言い、中に進めばたくさんの髪飾りが置いてあった
どれも綺麗で悩んでいればとある1つの髪飾りに目が止まった
それは琥珀色の飾りが付いた簪であった
光に反射するとキラキラ光ったり、透き通った色に見える

「それが気に入ったの?」

『うん、まるで善逸くんみたいな色しているから』

「え……」
彼の質問に素直に答えたが我に返ればとても恥ずかしいことを言ったと自覚した
ち、違うの!そういう変な意味じゃなくてね!と必死に弁解しようとすればするほど思いつかない

「ねえ、それ貸してもらってもいい?」
顔を赤くする彼にそれを渡せばそのままお会計に持って行かれた。
帰ってきた彼に「はい」と手渡され、お金だすよ!と言ってもあんなこと言われたらプレゼントしたくなっちゃうでしょ?と言い返された
あぁ、、どうしよう……耳の良い彼にはこの音がバレているのだろうか?
火照る顔を抑え、小さく『ありがとう』と呟いた。
10/11
prev  next