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それからもいくつか店を回り、もうすぐ日が落ちる頃、屋敷に戻った

『じゃ、じゃあね』
部屋の前で別れを告げ、中へ入ろうとすれば掴まれた手首
目線を彼に移せば「またお出かけしたいんだけどダメだよね?」と。

『また今度行こうね、』

「え。いいの!?」

『もちろん』
じゃあ、服着替えるから中入るね!
そう言い、部屋へと足を進めた。
外からは「うわあああ?!なまえちゃん!!!これはもう結婚だよね?!」
だなんて大きい声で叫ぶもんだからおじいちゃんにげんこつをされ、怒られたのであった

部屋に入れば、先程とはうってかわり、静寂が広がっていた
身につけていた羽織、着物を脱ぎ、衣紋掛けにかけていれば胸ポケットからカサリと紙袋が擦れる音
落とさないように傷つけないようにそっと袋から取り出せばシャラッと飾りが揺れる音がした

何度見てもやっぱり綺麗だ
あの時、すぐにこれが目に入ってとても素敵だと心を打たれた

まるで善逸くんみたいな色――――――
そう思った。
私は彼の色がとても好き。
それは今の色だからとかじゃなくて昔の彼の時からの話
でも今の色になりもっと好きだな。もっと見てたいと思った
今、思い出すだけでもあの時のことは恥ずかしいとなるけど嘘ではない。
この気持ちが何なのかは分からない
1度、簪を胸に抱きしめ、そっと戸棚に気持ちと一緒にしまい、ご飯のために部屋を後にするのであった
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