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『どうしよう……』

はぐれてしまった……
善逸とあの子が一緒のところまでは目にしたから離れていなければ大丈夫のはずだ。
善逸も本気を出せば強い……
なのに彼はいつも泣いてばかりなのだ
ただもし……あの時の力がたまたまだったら……?
不安が過ぎる。
あの二人は大丈夫。善逸がいれば大丈夫だ。
そう信じ、早く合流をする為に立ち上がり、歩き始めた

――――どれだけ歩いたのかも分からない。
そして風景が全く変わらない為、自分のいる位置すらも分からないのだ
そして響く鼓の音と共に姿を現したのは1匹の鬼

「やっとみつけたぜぇ、稀血だぁ、これで俺は……もっと強くなれる……」

昔から何度か耳にするこの言葉

『ねえ、あなた達の言う稀血ってなんなの?!』

「何だ、嬢ちゃん知らなかったのか。いいぜ、教えてやる」

稀血って言うのはな……
知りたくなかった真実

「稀血を持つ者は1人で50人〜100人分程の力がある」

そう、私の血はそれだけ珍しいものであり、鬼としては最高の存在なのだ
そして、匂いも珍しい為、狙われやすい
つまり必然的に私と一緒にいる人まで狙われてしまうのだ
大切な人を守る為に鬼殺隊に入ったというのに大切な人を傷つけてしまうかもしれない事実に怖くなった
それでも鬼を倒さなくては……
鬼滅隊に入った理由を思い出せ。と自分を奮い立たせた
刀を構え、攻撃を仕掛けようとするが突然身体を襲う痺れ。

『な、何これ……』

「血鬼術だよ、俺の目を3秒見つめると痺れるのさ」

その痺れは一度かかれば時間が経つ事に酷くなっていく。そして最後は動けなくなったところを食うのさ。
と話し不気味な笑みを浮かべた

直感的にやばいと実感した。
早く倒さなければ……
ぐっと身体に力を込め無理矢理にでも動かすが、思ったように身体は動いてくれない

「今のお前は俺の手中にいる」

『私は負けない、絶対にあなたを倒す』
そう言い、睨みをきかせれば、怒りをかったのかこちらへと攻撃を仕掛けてくる
上手く避けきれず、受身を上手く取れなかった為、床に叩きつけられる

『ぐっ……』

「何が倒すだ。もう殆ど動けないのに。そういえば、お前と一緒にいたあの剣士も今頃腹の中だろうなあ。あんな弱い奴がお前の味方だなんてついてないな」

鬼の言葉に自分の中で何かが弾けた
それはきっと怒りだ

『善逸くんは弱くない…』

刀を地面につき、立ち上がった

「何言ってんだ、泣いてばかりのアイツが弱くないだと?」

『確かに善逸くんは泣き虫だし、頼りないけど頑張れる時は頑張る人よ』

言い返せば面白くなさそうな顔をしている
息は途切れ途切れだ。
先程打ち付けたところから血も出ている
今にも倒れてしまいそうだ
それでも、仲間を馬鹿にされたことは許せない

だから、私は……
痺れる身体に鞭を打ち、息を思い切り吸い込んだ

『氷の呼吸……参ノ型――八寒地獄』

言葉と共に刀を思い切り振り下ろした
部屋中を包む冷気
鬼に降り注ぐ大量の刃
避けきることが出来ずにそのまま鬼の頸は落ちた

「ひひっ、俺を倒せてもお前はいつか死ぬ。稀血を持った人間はそうなんだ。いつ殺されるかも分からない運命に惑わされながら生きるんだ」

そう言葉を残しながら鬼は灰となった
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