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「そういえばお前と紋逸は良い関係なのか?」

『…………は?』

あー。仲直り出来て良かったと思っていればとんでもない言葉が聞こえた
思わず口はあんぐりあいてしまう
聞き間違いかもしれないと思い、聞き返せば

「だからお前と紋逸は良い関係なのか?」

同じ言葉を返された
どうした。伊之助そんなこと言うキャラではないだろう。頭の中はハテナだらけだ。
何をどうしたらそういう考えになるのか分からず黙っていた

「何も言わねえってそうなんだな」

『ま、まって!違うから!』

勝手に納得されたので急いで否定をしたがこれはこれでめんどくさい事になった

「じゃあ何なんだ?どういう関係だ?」と質問攻めだ
変なものでも食べてしまったのかと思ってしまう
正直な話、私と善逸くんの関係は私が1番聞きたい。
答えは出ているのだろうが
きっと彼にとって私はただの親友だ
昔からずっとそばに居たから情が大きいと思う。
そう思えば心にストンと落ちてきた
悲しいけどそれが事実だ

『あのね伊之助、私と善逸くんは良い関係でも何でもないよ。ただのお友達』

「ふーん。じゃあ俺はお前と良い関係になれるか?」

ん……?
しんみりとした心に聞こえた言葉

「俺はお前のこと好きだぞ!」

目の前の猪くんは何故こんなにも爆弾投下してくるのだ
そもそも私と出会ってそんなに経ってないじゃないか。

『あ、あの、伊之助のことは私も……っ?!』

「なまえちゃんは俺のものだからあげない」

そう言い、肩を思い切り引き寄せられた
上をちらりと見れば少し怒った顔の善逸がいた

「行くよ」

グイグイと手を引っ張られどんどん伊之助と引き離されていった
突然の登場に驚きを隠せずそこに佇む伊之助に『ごめんね!』とだけ伝え、その場を去った

廊下をひたすら歩いている間どれだけ声をかけても返事をしてもらえない
何でこんなに怒っているのか分からず、どうしたらいいのか悩んでいれば私の部屋の前で立ち止まられた
こちらにくるりとひっくり返った瞬間、胸が高鳴った

光に反射して見えるキラキラとした色、真剣な眼差し
私には刺激が強すぎる
悟られないよう目を逸らせば、「こっちを見て」と言われた

「ねえ、伊之助と何してたの?」

沈黙を破り、口を開いたのは彼だ

『な、何もしてないよ?』

「俺に嘘ついてもバレるからやめた方がいいよ?」

そうは言われても何も無かった。
あるとすれば彼との関係を聞かれたこと、告白紛いなことをされたことくらいだ。

うーん。と悩んでいれば彼はため息をつき、再び口を開いた

「伊之助に告白されてたでしょ?」

『え、あ……?!聞こえてたの?』

「当たり前でしょ」

もしかして会話全部聞かれていたのなら恥ずかしい!
彼の耳の良さを少し恨んだが、どうやら聞こえていたのは告白の下りだけらしい。ほっと胸を撫で下ろした

「なまえちゃんはさ、俺のこと好き?」

『え、』

少し泣きそうな、恥ずかしそうな表情で話す彼。

「俺はなまえちゃんのこと好きだよ」

『そ、それは……』

「おーい、2人とも昼ごはんみたいだぞ!」

『わ、分かった!』

「ちょ、なまえちゃん!」

後ろから聞こえた炭治郎の声に振り返り、私はその場を逃げるように去った。

バクバクと今も鳴っているこの音は彼にバレているのは分かっている。

ただ、ただあの質問とあの目はずるい……
あんな風に見つめられてしまったらもう戻れなくなる……

そんな思いを胸に閉じ、みんなの待つ場所へと向かうのであった
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