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「ねえ!ちょっと待ってくれないか!!」
「どうしたんだ善逸?」
「怖いんだよ!目的地が近付いてきて!」
善逸の言葉に振り返ればいつものあれが始まった
炭治郎も呆れた様子で眺めており、伊之助に関しては
「なんだこいつ座り込んできもちわりぃ」だなんて話している
「お前に言われたくない!猪頭!」
伊之助の言葉に言い返せば、ビービー泣く善逸は私をちらりと見てきた
『な、、なに……?』
「なまえちゃんなら俺の気持ち分かってくれるよね?!ねえ?!助けてくれよお。怖いんだよお……みんなあの山から何も感じないの?!」
私にしがみつきながら山を指差した
生憎、私は炭治郎や善逸くんみたいな長けた鼻も耳もないから分からない。
ただ目の前の彼はそれを感じたからここまで怯えているのだろう
「ただここに座ったままいてもどうすることも出来ないだろう」
「俺が普通でお前らがおかしいの!」
炭治郎の言葉は正しい。善逸は聞く耳持たず「怖い!嫌だ!死にたくない!」とばかり言っている
「っ?!」
『炭治郎どうしたの?』
「な、何?何があったの?」
突然、山に目を向けた炭治郎に問いかけるも答えは返って来ずそのまま山に向けて走り始めた。それに続き、私も彼を振りほどき走り出した
「え!?待ってよ!!俺を置いていかないで!!!」
泣きながらも必死に追いかけてくる彼をちらりと見る
炭治郎が見えた所で立ち止まればそこに現れたのは1人の鬼殺隊員
駆け寄れば「助けてくれ……」と呟いている
『何があったんですか?』
その問いかけの答えを聞けることも無く、彼の身体は山の中へと引っ張られようとした。
そして、私は思わず彼の身体に捕まってしまったのだ
もちろん突然のことに対処出来ず、私も連れそのまま山の中へと連れ込まれる
「なまえ!!?」「なまえちゃん?!」
最後に聞こえたのは3人の私を呼ぶ声
止まったことを確認し、目を開ければ地面に転がっている。
立ち上がり、周りを見渡せばそこには衝撃的な状況が広がっていたのだ
『な、何これ……』
至る所に人が吊るされていたり、地面に転がっている。
それは皆、鬼殺隊員ということがわかる。
応援と言われてきたが手遅れなのでは……?
突然、身体を恐怖が襲う。
「……っ!」
背後からの音に振り返れば震えながら立ち上がる1人の鬼殺隊員。
手には刀を持っているが動きは明らかにおかしいものだ
「おね、が……い、逃げて……自分の力じゃ制御できないの……お、ねがい……!!!」
そう言いながら目の前の彼女は刀を振り下ろしてくる
私は既のところで避けた
どういうこと……?
隊員同士の争いは禁じられているはず……
そして彼女は自分の意志ではないと話した
考えろ……、考えろ……!
みんなを助けると決めたんだから……!
すると一瞬ではあったが月の光に照らされて彼女の背後がキラリと光った
もしかして……!物は試しだと彼女に近付き、背後に回れば刀を振り落とす。
するとハラハラと糸が切れた
目の前の彼女は「ありがとう」とひたすら泣きながら呟いている
カチャリと音が私と彼女を囲む。
この人たちも……
私の考えが正しいのなら……
私は再び刀を構えた
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