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「ねえ、もう終わりなの?私もっと血を見たいのに……」
恍惚な表情で不気味な笑みを浮かべる目の前の鬼
相手の懐に踏み込めない限り私に勝ち目はない
それにはスピードと隙を見つけなくてはいけない
刀を再び握り、目を瞑った。
あの型なら……
もしかしたら勝てるかもしれない。
今まで成功もした事ない。私がどれだけ頑張っても1つだけ習得できなかった型。失敗すれば間違いなく死ぬ。
それでも私が向き合おうと思えたのは仲間のおかげだ。
守るべき人がいるから私は頑張ろうと思える。
もしかしたら彼に怒られるかもしれないなあ……
あの時の会話がふと頭を過ぎる
――――
『っっ……いった……』
「うわああ!なまえちゃん!その型はもう使わないようにするって約束したでしょ?!?!何で使おうとするのおお?!ほら怪我してるでしょ?!もう手当てするしこっち来て!!!」
『このくらい大丈夫だよ』
「大丈夫じゃないから!!!血めっちゃ出てるから!!!絶対大丈夫じゃないから!!」
これでもかって言うほどに目を見開き話す彼に思わず笑いそうになってしまう
そう、私はどうしても1つだけ習得できてない型があり、練習していたのだが失敗する度に怪我をしてしまう。今日は上手くいかず右腕を切ってしまったのだ
「ねえ、なまえちゃんはどうしてその型をこんなに頑張ってやろうとするの?他の型はできるんだよ?危ないじゃんか……」
『これから先さ、強い敵が出てきても戦えるようにだよ、守られるばかりじゃ嫌だもの』
「なまえちゃんは十分に強いでしょうが!俺へと当てつけ?!嫌味ですか?!俺なんて1つの型しか出来ないんだよ?!?!」
右腕を手当しながら話す彼は半分泣きながら声は荒らげており、情緒不安定だ。
『善逸くんはその1つのことがすごく長けていて強いだしょ?』
「だーかーらー!俺弱いんだって!!!守ってもらわきゃ死んじゃうの!!ずっと言ってんじゃんかあ!」
何で分かってくれないの?!ととうとう泣き出す彼
「とりあえず!この型はもう使わないで。本当に心配で俺どうにかなっちゃいそうだからさ、使う度にこんな怪我するなんて見てらんないよ。今は鬼や相手じゃないからこんなもので済んでるけど本当に敵だったら死んじゃうかもしれないんだよ?」
『分かってるよ。それでも私は何も出来ず死ぬのなら誰かの為に頑張って死にたい』
「……死ぬなんて言わないでよお」
『え、ぜ、善逸くん?』
いつもの雰囲気で泣き喚く彼ではなく、涙をぼろぼろと零し、本気で泣き始め、思わず焦ってしまう
名前を呼べば綺麗な琥珀色の瞳が私を捉えた
「なまえちゃんが死ぬくらいなら俺が頑張るからさ、だから約束して?」
『……守れるように努めるね、』
「そこは守ってよ?!絶対だからね?!?!約束したからね?!」
いつもの彼に戻り、あまりの勢いに私は流れでこの型はもう使わないと約束した
――――
やばいなあ。失敗したら絶対怒られる。
失敗しなくても怒られるけど……
そんな昔の思い出を思い出しながら私は刀を構え、息を吸った
「なぁに?やっと本気出してくれるの?」
『これでけりをつける!』
「ふふっ!いいわ!全力でやりましょう?」
鬼も糸を構え、私に再び向き合った
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