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深い眠りから覚めたような気がする
身体のあちこちが痛い
そういえばあの鬼は倒しきれたのかな……
ああ、なんかずっと聴きたかった声がするなあ
ぼんやりとした頭で考える。
浮上する意識に身を任せ目を開けばそこにいたのは私の大好きな色を持った彼と私を捉えた張本人である人面蜘蛛。

彼は木に登り、必死にしがみついている
その瞳からは涙が溢れんばかりに零れていた

「なまえちゃん?!目を覚ましたの?!」

『善逸く、ん……ここから逃げて……』

「そんなことできるわけないよ!!」

「へえー。じゃあ俺と戦うって言うんだな?」

「ひぃ……!!!待って待って待って!ちょっと1人で考えさせてよ!!!」

頭に手を当て必死に見えるもの聞こえるものを塞ごうとしているのか木の上で更に身をまるめた

「え……」

「そろそろか……毛の抜け始めだ」

そう、頭から離した善逸の手には大量の髪の毛があるのだ

「説明してないじゃんか!!!!嫌だ!!!あんな蜘蛛になったら本当になまえちゃんに嫌われちゃう!!!」

『ぜ、んいつくんお願い、今なら間に合うから、早く……この場から逃げて応援を呼んできて……』

あまり意味のわからないことを話す彼に諭すようにそう伝えても彼は「そんなことできない!」の一点張りだ
嫌だ、自分のせいでこれ以上大切な人を失いたくないのに……
手足が麻痺してるのか動かない
声も段々と出にくくなってきた
何も出来ない自分がもどかしい
何の為に鬼殺隊に入ったんだ
このままでは彼まで死んでしまう……

もう一度彼を見れば恐怖のあまりか失神して木から落ちている

『ぜんいつく、ん……!』

「あぁ、なんだこいつ、俺を倒しに来たんじゃないのか?失神しやかったぞ」

嘲笑うかのような目で見ていた鬼
そして、目の前に稲妻が走ったのは一瞬の出来事だ

「雷の呼吸……壱ノ型……」

そう言いながら彼は技を繰り出そうとするが、鬼の吐き出した毒を避けたせいでかなわずに終わる
宙で身体を捻り避ける様子に鬼は驚きを隠せずにいた

「おい!もっと毒を出せ!! 」

焦りを感じたのか鬼は従える蜘蛛に命令を出す
それもさらりとかわし、地面に足をつけるが毒のせいか血を吐き出し、身体が思うように動かなくなっている

肩で息をする彼が目を瞑っているがこちらを見ている気がした

「大丈夫。なまえちゃんは必ず俺が守るから」

そう話す彼はいつもの泣き虫じゃなくて誰かの為に頑張る彼だった

『な、んでそんなに……』

言葉は続かない
涙が止まらず上手く言葉に出来ないのだ

何でそんなに頑張ってくれるの?
身体だってすごく痛いはずなのに……
今にも泣き出したいはずなのに……

「くっそお、こいつの血さえ手に入れば俺はもっと強くなれるのに……!!!」

そう言い、鬼は私へと狙いを変えた
鬼の刃が目の前まで迫ってきていたがその痛みはいつまでもこなかった

「雷ノ呼吸……壱ノ型―――霹靂一閃 六連」

そう、彼のおかげだ
駆け巡る稲妻のように走り、地面を蹴りあげた彼は糸をバネに宙を舞った。
そして、その刃は鬼の頸を落としたのだ

「俺がやられたのか?!こんな奴に……?くそ!くそお!!!この女の力さえあれば……!!!」

そう言い、彼と私を恨めしそうに睨みながら鬼は灰となった

鬼の頸を落とすと同時にこちらを縛る糸も切り落としてくれていたのか私の身体は屋根の上へと叩きつけられた。そして、まもなくして彼の身体も落ちてきた

『ぜんいつく、ん……!!』

体の痺れはもうなかった
彼のおかげで鬼の血鬼術が解けたからだ
私は今にも死にそうな彼を手繰り寄せた
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