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「なまえちゃん?」

ユラユラ揺れる彼の目は私を捉えているのが目の端に映った

「この人のどこが弱くないって言うのよ!!」

『貴方は……!何も分かってないです。善逸くんに今"全部見透かしている"って言いましたよね?』

その言葉にこくりと頷く目の前の女性に言葉を続ける

『貴方の思っていることも全部嘘って分かりながらもあなたのことを信用し続けたんですよ?大切な人だから。どれだけ嘘って分かっていても貴方への想いで頑張ってた人が本当に弱いわけがないです』

嘘って分かっていても信用することがどれだけ辛いことかただ大切だからって気持ちだけでここまで守るのことのできる彼のどこが弱いのか

私は口にした。

「そ、そんなのバカがすることじゃない!!」

『馬鹿は貴方でしょう?』

怒気の含んだ声で言えば、その言葉に腹を立てたのか隣に立っていた男性がこちらに近づいてきて、顔を無理矢理上に向かされた

「さっきから人の女に色々言うてくれるじゃねぇか、いい加減黙らないとそこらへんの店に売り出すぞ?」

『その気持ち悪い手をさっさと離して下さい。反吐が出ます』

私は煽るように男に言葉を放った
流石にこの言葉に我慢が出来なかったのか男は手を振りあげこちらに殴りかかろうとした

「調子乗るのも大概に……っ?!」

「俺の大切な人に何をしようとしてるの?」

一向に来ない痛みに目を開ければ金色の彼が私の前に立ち、攻撃を止めていた

「な、なんだよ!!!こいつが悪いん……痛っ!いてえ!!!」

それ以上話すのなら腕を折るぞ。と言い、話す彼に悲鳴を上げる男の腕を締め続けているせいか骨が軋む音がしている

「くそ、が……!もういい!行くぞ!」

あまりの痛みに耐えられなかったのか男は手を無理矢理振りほどき、女を連れその場から立ち去った

「なまえちゃん!!大丈夫?怪我してない?!何であんな無理したの?俺びっくりしたじゃん!」

振り返り、そう話す彼はいつもの泣き虫な彼で既に目に涙を溜めている
確かに善逸くんは泣き虫だし、鬼を目の前にしてもいつも「死ぬ死ぬ」ばっか言って女の子大好きで本当に頼りないとこもあるけどそれでも彼は大切な人を守れるとても素敵な人だ
その思いを込め、私は彼の頭を撫でて『助けてくれてありがとう』と呟いた

もちろんその行動に目の前の彼は「ひぇあ?!」とか言う意味のわからない悲鳴を上げている
そんな彼にくすりと笑いかけ、行こっかと声をかけ歩き始めた

「あ、あの、なまえちゃんありがとうね」

後ろを振り返ればキラキラと光る彼が泣きそうな顔で笑っていた

―――――

「俺さ、あの時言ってもらった言葉がすごく嬉しかったんだ、、今までずっと1人だった、そんな俺の傍にいてくれたのはなまえちゃんだったんだよ。」

そんな風に思っていてくれたなんて知らなかった
私は溢れる涙が抑えきれなかった

「本当はさ、これからもなまえちゃんの傍にいたいのにもう身体が動かないんだ……」

『ぜん、いつくん死んじゃやだよ……お願い……私が助けを呼んでくるから待ってて……!』

そう言い駆け出そうとしたがそれは彼の手によって止められる

「お願い、ここにいて……」

彼の声は息たえだえで今にも消えてしまいそうだ
身体も縮み始めている
私は震える身体を無理矢理抑え、彼の手を握る

『こ、ここで死んだら許さないから!もう口も聞かないから!』

「えぇ……それは嫌だなあ……」

『だからお願い……死なないで、私を1人にしないでよ、』

ほろりと涙が彼の手に落ちた時だった

「もしもーし、大丈夫ですかあ?」

凛とした女性の声が背後から聞こえた
振り返れば淡いピンクを基調とした羽織を身に纏う女性が立っている

『あ、あなたは……?』
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